抗う力を ページ40
．
木「貴女と同じ様に怯えた顔を…昔、見たことがあります」
宮本さんをじっと見つめてただ静かに言葉を紡いでいる木下さんは、スッと彼女に近づく。
木「何があったのか、教えてくれませんか」
俯いていた宮本さんが、木下さんと視線を合わせる。
不安げに揺れた瞳は今にも泣き出しそうだ。
それを感じ取ったのだろう、木下さんは優しく彼女に声をかける。
木「大丈夫。貴女のことは必ず私が守るから」
凛とした決意をやどした声と瞳。
強い女性だね、あの人。凄いや。
きっとどこかで木下さんだって気づいてたんだ。
山本さんが上からの圧力…脅しとも言えるそれに怯えていた事に。
本当は当時の互いの立場では仕方のないことだったのかもしれないって事に。
でも今は違いますよね。
貴女は抗う力を持っている。
誰かを救う人になれる。
なら、私だってそれを手伝わなきゃ。
彼女を救ってあげなきゃ。
「貴女のお父様、肺癌なんでしょう？」
突然の私の発言に、視線が全てこちらへ移った。
宮本さんはハッとしたように顔を上げて、木下さんも私へ振り向く。
「東城大に入院してるよね。しかも特別室」
帝華大で色々と証拠を発見し、IDも調べた私はただの看護師が行った事にしてはスケールと言うものが大きすぎる気がした。
本当に金目当てなのか？
そもそも帝華大と彼女にどんな繋がりが？
疑問だらけの私は、彼女について調べた。
そこで出てきたのがこの情報。
「貴女の給料じゃ、特別室は難しいんじゃないかな」
君の後ろに黒幕が居るんだよね？
渡「誰に都合付けてもらった」
痺れを切らしたのだろう、征司郎が宮本さんへとにじり寄る。
獲物を前にじっくりと、どう料理するか決めあぐねてる蛇みたいだ。
渡「それと引き換えに、データのコピーをさせられた」
黒「何だと？」
渡「誰だ？言え」
一歩、一歩。
渡「誰だ？泣くな。おい。言えよ」
にじり寄って、追い詰めて。
渡「誰だよ！！」
悪魔の大きな声と共に、宮本さんの大きな瞳から透明な雫がこぼれ落ちた。
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霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
