可哀想に ページ39
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征司郎が立ち上がって近付くと同時に、准教授が指でIDの箇所をバシバシと叩いた。
黒「誰のIDだ」
問いかけには答えず、征司郎はただニヤニヤと笑うだけ。
ここまでくると、もういっそ気持ち悪いくらいに笑っているなと思いながら私も自然と口角が上がりそうになる。
だって、この話の全てを聞いたとき、愉快すぎて笑いが収まらなかったから。
あぁ、いや、愉快と言うには少々闇の深すぎる問題なのかも知れないけれど。
痛いくらい空気が張り詰め静かな空間にコンコン、と二回ノックが軽く響いて扉が開く。
隙間から覗いたのは深紅。
室内に居る全員の視線を受けて、先頭に立っている美和ちゃんは一瞬怯んだ様子を見せたものの、失礼します、と中に入ってきた。
その後に続いて看護師の宮本さんと、猫ちゃんも入ってくる。
征司郎が軽く顎で指示を出すと、猫ちゃんはスタスタとこちらに歩いてきた。
猫「渡海先生に指示されて院内のIDを調べました」
場の空気がまた張り詰める。
ピクリと肩を揺らした人物が居ることにみんなは気が付かない。
渡「0019292……」
気怠げな征司郎の声がIDを読み上げていく。
渡「0019294………宮元亜由美」
猫「彼女のIDです」
全員がゆっくりと猫ちゃんの視線の先を追う。
そこに居るのは一緒に入ってきた看護師の宮本さん。
誰かが息を呑んだ。
黒「なんてことしたんだ…君が、帝華大と繋がっていたのか…？」
彼女の瞳が水分を増し、唇が震えている。
あーあ、可哀想に。
黒「いくら貰った？自分が何をしたのかわかっているのか！！」
守「まったく。困った事をしてくれましたねぇ！」
准教授の怒鳴り声と医院長の呆れたような声。
美和ちゃんが悲しみの表情を浮かべて宮本さんを見つめる。
彼女は何も言わないまま、涙を堪えるように、何か言いかけそうな言葉を飲み込むように、肩で荒く呼吸をする。
震えている息を吐きだす音。
さて、どうしたものか。
次にどう行動しようか私が思案していると、一足先に空気が動く。
「本当は…何があったんです？」
響いたのは、木下さんの声だった。
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霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
