突然横入りしてきた ページ35
．
高「これは…！」
微かに息を呑む権の字。
"問題"に気づいた彼に、私は目元を細めて笑う。
さぁ、発見してしまったそれをどうする？
私の笑みを見て権の字は直ぐに声を上げた。
高「待ってください」
ざわつきが一気に収まり、空気に冷たい何かが混ざっていく。
全員の視線が権の字へと集まり、出て行きかけていた准教授も足を止めた。
私はこの後起こることに予想を付けて、少しずつ周りを片付けていく。
高「エコーを左心耳の方向へ向けてくれ」
麻酔科医「はい」
カチカチとつまみを回す音だけが響いた。
直ぐに異変に気づいた准教授が戻って来て、画面を見つめる。
世「これは…！」
「血栓の浮遊だね」
血栓とは血の塊。
つまり、放っておけば血管に詰まって脳梗塞などを引き起こす可能性がある。
世「北見先生、高階先生」
高「直ぐに摘出しないと」
「いっちょやりますかね」
カエサルを使った摘出方法、及びルートを頭の中で素早く計算していく。
が、しかし。そんな私の思考は突然横入りしてきたあの医院長の声によって止められた。
守「黒崎先生、一旦閉じましょう」
…今、こいつなんて言った？
守「予定していたオペは終了したんです。余計なことをして問題でも起きたら、台無しですよ！
わかってますよねぇ？」
おいおい。何言ってんだこいつ？
あまりの言葉に頭痛がしてくる。
そんでもって、医院長に言われた途端動かなくなる目の前の男にも腹が立ちすぎて頭が痛くなってきた。
本当にどいつもこいつも。
「クソが」
守「黒崎先生！」
黒「…このまま閉じる」
小さな私のつぶやきは誰にも聞こえなかったようで、代わりに准教授の衝撃的…いや、ここまで来るともういっそ笑えてくる言葉が飛び出した。
オペ室に居る職員たち全員の表情に困惑の色が浮かぶ。
高「放置すれば患者の命に関わる！今処置すれば間に合う！」
耐えきれず准教授に駆け寄った権の字。
黒「予定外のことだ。閉じるのもやむを得んだろう！」
いい加減頭にキタ。
征司郎もいない事ですし。
ここは私がはっきりと言いましょう。
高「それは───」
「あんた、馬鹿なんですか」
静かなこの空間に、存外私の声は響いた。
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霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
