最大の敵は ページ32
木「でも、助けたいという思いだけでは解決出来ない問題もあります」
木下さんは、先程の穏やかな表情を消してまたモニターに向き合った。
木「人です」
花「人…」
木「患者にとっても、医療現場で働く人間にとっても、最大の敵は病気じゃないんです」
病気ではない敵。
と、なると残るは。
木「人の敵は、人なんです」
美和ちゃんが目を丸くして、何かを訴えるように木下さんへ言葉を投げかける。
花「山本さんも同じことを仰ってました」
確かに彼女も言ってたなぁ、そんなこと。
花「山本さんが積極的に治験を受けてくださるのも、未来の医療のため。人のために力になりたいという想いがあるからだそうです」
「じゃあ、私はその気持ちに応えるためにも頑張らなければいけませんね」
木「北見先生…」
「そろそろシミュレーションの手伝いに行ってきます。オペの日はもうすぐですから」
木「宜しく、お願い致します」
❖❖❖
身支度を整えてオペ室に入れば世良くんが私を見て、顔をほころばせた。
ピリついていた場の空気が少しだけ和らいだ気がする。
それもそうだよなぁ…。
さっきまでこの空間には、何かと口うるさい黒崎准教授と、帝華大から来たことで目の敵にされてる権の字、それから征司郎が指導医である世良くんの三人が一緒になってんだもん。
気まずくって仕方ないよね。特に世良くんは。
「遅くなりました」
世「北見先生！お疲れ様です」
「准教授、カエサルの方は如何ですか」
黒「問題ない。扱いにも慣れてきた」
「それは良かったです。今回のオペも失敗するわけにはいきませんからね」
黒「十分に承知している」
准教授の言葉に頷き返して、世良くんの隣まで向かい、そっと耳打ちする。
「世良くんは大丈夫だった？」
世「何とか。開始からずっと空気がピリついてましたけど」
「おーよしよし。頑張ったね〜」
世良くんが器具から手を離した隙に高い位置にある頭を背伸びして撫でる。
世「いや、あの、子ども扱いやめてください」
「ごめん、つい。君、犬みたいだから」
世「犬！？」
「なんかゴールデンレトリバーみたい」
高「それは褒めているのか？」
「ホメテル、ホメテル」
世「うわぁ、棒読み」
「えぇ？ホントに褒めてるよ？」
黒「おい。無駄口ばかり叩くな。集中しろ」
「はーい」
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霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
