明日は槍が ページ26
渡「で？お前は何でこんな所にいるわけ。あんなに嫌がってただろ」
木下さんが手土産として持って来たと思われる箱を開けて、中身を取り出した征司郎。
どうやらおにぎりのようだ。
東京で有名なやつかな。
「ちょっと呼び出されただけだよ」
渡「あの人に？」
「うん」
敢えてあの人の名前を出さないあたり、征司郎なりの気遣いなんだろうか。
そんな彼は机の上にある箱を、すぐ隣の私へ少し押しやった。
私も食べろってことか。
一つ取り出して口に入れる。
結構美味しい。
渡「要件は？」
「日本に帰って来たなら帝華大に戻って来るんだろ？みたいなこと言われた」
渡「相変わらずだな」
「ホントだよ。戻るつもりなんか、ここを出た時からとっくに無いのにね」
渡「そのつもりで俺もお前を連れ出したからな」
絶望の中で、藻掻いていた私を引き上げたのは征司郎だった。
こんな所出るぞ。来い。って。
強引に腕を引いて。
確かにあの時、私は暗闇から光の方へと足を踏み出した。
強い決意を持って。
「でもまぁ、正面切ってもう戻ることは無いって言ってきたから」
渡「随分と強気で出たな」
「何かもう、今更な感じがして。ここまで来たら言ってやろうかなーと」
渡「へぇ」
あっという間に食べ終わった征司郎は、お茶を一口飲んで、またソファの肘掛けに頭を預けて寝転がる。
渡「お前らしくていいんじゃない」
「……」
渡「なに」
「励ましてくれる征司郎とか…レアすぎて。
明日は槍が降るんじゃないかと」
渡「あ？」
「ごめんごめん。冗談」
何でだろ。
身体に入ってた力が抜けた感じ。
ちょっと楽になった。
こうなる事も計算済みでの、励ましだろうか。
「ありがとね。征司郎」
渡「…ん」
腕を組んで眠ろうとする征司郎の側にぴたりと寄り添って、私は机の上を片付け始める。
また後日、木下さんにはお礼をしないと。
一眠りしたら、起きて武田に1000万を要求するだろうから付いて行こうかな。
面白そうだし。
緊急オペに駆り出された腹いせに、悪魔の前で青ざめる武田を見て少し楽しもう。
渡「A」
「なぁに」
渡「一時間したら起こせ」
「ん。分かった。おやすみ」
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霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
