急患 ページ1
「では、また来ますね」
最後の担当患者の病室を出る。
これで回診は終了。
あとは教授のとこまでさっきの件の報告に行って、外来と…それからカルテの整理。
やることは山積みだ。
凝った首を軽く揉みながら、医局への道を進む。
さて、あの研修医くんは私の言葉をどう受け止め、どう心の中で整理をつけたのだろうか。
そろそろ答えが出ていることを期待する。
あと少しで医局に到着、と言うところで、あまり聞きたくはない音がした。
PHSだ。
白衣のポケットに手を突っ込んで取り出し、耳に当てる。
「はい。心臓血管外科の北見です」
花「急患です！心筋梗塞で、40代、男性。第二オペ室に運びました！」
美和ちゃんの焦った声が耳元で響く。
心筋梗塞は、心臓を取り囲むように通っている冠状動脈、通称冠動脈が完全にふさがり、心筋に血液が流れなくなった状態の事。
心筋が壊死し、重症の場合は死に至ることもある。
参ったな、急がないと。
心筋梗塞のオペは時間との勝負でもある。
「すぐに行く！準備進めてて。あ、それから第一助手は世良くんで」
花「えっ？世良先生ですか？」
「うん。宜しくね」
電源を切ってPHSをポケットに仕舞うと、私はオペ室に向かうでもなく、そのまま医局に足を進めた。
中に入ると、何人かの研修医が目に入る。
「研修医くんたちー」
入口付近で声を掛ければ、一斉に彼らの視線が私へと集まった。
「心筋梗塞の急患。第二オペ室。間近で見学したい人はご自由にどうぞ」
速「えっ？先生、執刀なさるんですか？」
「うん。じゃ、暇だったら来て」
言いたいことだけ伝え終わると、ひらひらと手を振って私はオペ室へと急ぐ。
実は、ここに来て私が正式に執刀医となるのはこれが初めて。
いつも征司郎の助手ばかりだったからね。
久々の執刀だ。
しかも冠動脈のバイパス手術。
気合を入れ直さないと。
「よし…やるぞ」
両手で、頬をペチンと叩く。
ちょっと力みすぎて痛かったけど、気合は入った。
オペ室前に漸く到着。
征司郎から貰ったバレッタを外して、ハーフアップになっていた髪を1つに結ぶ。
手をしっかりと消毒して、身支度を整えてから私は第二オペ室へと足を踏み入れた。
さあ、オペの開始だ。
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霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
