らしくない ページ2
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黒「そういう訳で、東城大と帝華大が合同チームを組むことになった。誰か参加したい者は居るか?」
仮眠室で休んでいた北見先生と渡海先生に佐伯教授から伺ったことを報告した後、直ぐに僕らは医局に集められた。
黒崎准教授からみんなへ伝えられたのは、カエサルのお披露目会を東城大と帝華大の合同チームで行うということ。
しかも会場となるのはこの東城大。
場所が東城大とはいえ、必然的に帝華大が中心となってしまうこのチーム。
誰か東城大の医局員も参加しなければ合同チームの意味がないし、理事長選の為に東城大の存在もアピールしなければならない。
誰が参加するのか、という話なのだが……。
高「私が参加します。この中で一番カエサルでの手術経験があるのは私ですから」
人並みを掻き分けて中央から出てきたのは高階先生。
確かにこの中でカエサルについて特に詳しく、手術の経験が多いのは高階先生と北見先生だ。
あれ?そういえば北見先生の姿が見えない。
さっき仮眠室から一緒に出てきたのに。
周りを少しキョロキョロと見ていると医局の後方にあるソファに腰掛けて居るのが目に入った。
一体どうしたと言うのだろう。
北見先生らしくない。
一人だけ別行動を取るような人では無い筈なのだが。
声を掛けに行くか行かないか迷っていたら、
隣から島津に小突かれた。
島「世良くんは参加しないの?カエサルでの手術経験あるでしょ」
世「え、あ、いや、先輩を差し置いて僕なんかが」
流石に研修医の分際で僕が参加するのは差し出がましいというものだ。
けれど、誰も進み出ない。
小さなざわめきが広がっていると、医局の入り口に影が現れた。
渡「じゃあ私が参加しますよ」
世「渡海先生…」
居ないと思ってたら外にいたのか。
医局の中へと進んできた渡海先生は僕の辺りまで来て立ち止まるとこちらを向く。
渡「お前も参加な」
世「え、僕もですか!?」
渡「それから…おい、A」
僕に拒否権はないということか。
みんなは、渡海先生が声を掛けたソファの方を振り返る。
北見先生の背中だけが見えた。
渡「お前もチームに参加しろよ」
「やだ」
渡「そう言うなって」
背を向けているから表情は読み取れないけど声も言葉もとても冷ややか。
あの明るい北見先生が別人みたいだ。
渡「じゃあ、帝華大の好きにさせるわけ」
「……」
渡「…決定だな。Aもチームに参加ということで」
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霜月(プロフ) - 希央さん» お返事遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます!本当にスローペースですが、頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 美里さん» お返事遅くなりましてすみません。ありがとうございます。これからも皆様に楽しんで頂けるよう頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 中原三日月さん» コメントありがとうございます。お返事遅くなりましてすみません。更新、頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 沙月さん» お返事遅くなりましてすみません。そうだったんですね!私も自分の名前に使われている漢字が出てくると驚くのでお気持ちわかります(笑)。これからも更新頑張ります! (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
希央(プロフ) - スローペースでも構いません。ちゃんと読んでいますよ!更新楽しみに待ってます (2019年4月8日 2時) (レス) id: 29de18e512 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜月 | 作成日時:2018年12月17日 23時