僕らの世界4 (ページ34)

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別世界・2 ページ34

「隼ー」
向こうで手を振る人物。俺ー東海林隼ーの名前を呼んでいる。
「あ、兄貴！」
俺は、兄貴の所へ駆け寄る。知らない人ばかりの場所で兄貴の顔を見ると、何だか安心した。
俺は、生徒会メンバーで渚学園高等部に来ている。高等部生徒会と話をするためだ。
「よく来た。話は聞いてるから、案内するよ」
「サンキュー」
「よろしくお願いしまーす」
一行は、兄貴の案内で生徒会室へ向かった。

「失礼しまーす、連れて来たよ」
兄貴は、生徒会室のドアから顔だけ覗かせて言った。中から、「はーい」と返事が聞こえた。
「じゃ、入りたまえ。俺はこれで失礼するけど、何かあったら連絡してくれ」
兄貴に促されて、俺たちは生徒会室に足を踏み入れる。
中等部生徒会が集合するのはいつものことだけど、高等部生徒会の面々が勢揃いしているのを見ると、やっぱり格の違いを感じた。
「失礼します」
「どうぞ」
海斗からの情報によると、今のは星が丘学園の副会長。たった3文字でも威厳がある。アウェー感がヤバい。高校生ってすげぇ、と身も蓋もない感想が口から出そうになる。
何とか飲み込んで席に着くと、早速渚学園の生徒会長が口を開く。俺たちのことを追っていたのはこの人だったのか、と1人納得する。
「それで、今回はどのようなご用件で？」
「先日入手してしまった情報についてです」
俺がボケッとしていると、真帆がすかさず答えてくれた。
「僕がこの間入手した情報を、中等部に公開すべきかどうか、訊きに来ました」
海斗は、一人称を「僕」に変えて完全にいい子モードだ。普段の面倒くさがりからは考えられない進化(？)だ。
「ああ、そのことか。実際、どこまで知ってる？」
「えっと…」
俺が渚学園の会長を見て呼び方に悩んでいると、
「市原でいいから」
とフォローが入る。
「市原さんがファミレスにいつもいたことと、三浦さんは『冷酷キャラ』を装っていることです」
「他には？」
「いえ、これだけです」
俺がそう言うと、市原さんは少し考えてから言った。
「なるほど。そうだな…俺のことは言ってもいいけど、冷酷キャラについては保留だ。とりあえず公開するな、ということでいいか？」
「はい」
俺は、「はい」以外の答えは認める気ないくせに、とちょっと思った。
「それから、三浦さんについての質問なんですが」
真帆が話を切り出した時、横目で三浦くんを見ると、今までにないほどの不機嫌そうな顔をしていた。