僕らの世界4 (ページ32)

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馬鹿正直ページ32

こっそり広める、秘密にして、本当にヤバくなったら広めるなど、あれやこれや案が飛んできては反論や課題にぶつかって消える。かれこれ30分以上議論しているけど、このままだと全然決まりそうにない。僕ー瀬戸航平ーも先輩たちも、頭では分かっているのだろう。でも、解決の糸口が見つからずにずっと同じ所をウロウロしている。
「だから、やっぱり公開しない方がいいんだって！」
「何でそうなるかな、公開しなかったら俺たちに何が起こるか分かんないんだぞ！」
「サキはどう思う？」
「えー…どっちでも」
ご覧の通り、1話前と言っていることは大して変わらない。
「瀬戸くんは？2年生的にはどっちがいいと思う？」
突然伊達先輩に話を振られた。ボーッとしてたら、いつの間にか全2年生を背負ってしまった。
「僕は…分かりません。どっちにしても、それぞれメリットとデメリットがあるから」
「うーん…ド正論。俺らが求めてるのとは違うけど」
「すみません」
「いや、いいんだ、ありがとう」
僕は何だか申し訳なくて、いい方法がないか脳内大捜索をした。

「あ、」

ひらめいた。ダメ元でも、言ってみよう。
「もう、馬鹿正直に訊きませんか？」
先輩たちは、豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔をした。
「誰に何を？」
「高等部生徒会に、何がしたいのか、知ってしまったことは公開するべきかしないべきか、全て」
「…」
「…」
空気が流れるのをやめたみたいな静寂。やっぱり、ダメか…

「…いいと思う、私は」

ボソッと言ったのは、普段はほとんど喋らない神河先輩だった。
「俺もいいと思う、最終手段として」
「うん、最終手段としてはいいかも」
先輩たちは、「最終手段」として僕の方法を受け入れてくれた。あくまで「最終手段」ではあるけど。
「でもこうなったら、最終手段をいきなり使っていいんじゃないか？いくら議論してもこれよりいい案は出なかったわけだし」
最後の一押しは、東海林先輩だった。
「じゃあ、やるか」
「やろう」
「よし、馬鹿正直に全部訊きに行くぞー！」
「オー！」
謎のかけ声により、方針は固まり、生徒会も結束した。