僕らの世界4 (ページ29)

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戦利品ページ29

「海斗ー！無事だったかー！」
海斗の高等部潜入から一夜。俺ー東海林隼ーは朝、登校してすぐにC組へ走り、廊下からC組にいる海斗に向かって叫んだ。周りから白い目で見られたけど、この際気にしない。海斗がたくさんの情報を持って帰って来てくれたから、それ以下のことはどうでもよかった。
「大袈裟な…」
海斗はいつも朝早くに登校して、寝ている。今日も寝ていたらしく、眠そうな目をこすりながら俺の所へ来た。
「情報は昨日送った通り。一応音声は録ってあるから、聞きたければ放課後に。んじゃ、寝てくる」
「おい、そう言わずにさぁ…昨日何があったかとか、詳しいことを教えてくれたっていいじゃん」
「放課後な」
海斗はあくびをすると、また席について眠ってしまった。
そこで俺は、紙に伝言を書いて、近くにいたC組のサッカー部員に海斗の机に置いておいてもらった。

『放課後、ファミレス集合！海斗のこと盛大に祝うから楽しみにしてろよ！ショージ』

「海斗、グッジョブ！」
「ナイスー！」
放課後、俺、凉馬、真帆は一足先にファミレスへ行き、海斗を祝う準備をした。そして、海斗が来た瞬間にその功績を褒め称えた。
「海斗、音声ある？」
「ああ、ある。ちゃんと録っておいたから」
「さすが」
海斗は、朝に睡眠妨害されたことなど忘れて、すっかり上機嫌だ。スマホをテーブルの真ん中に置いて、再生した。
『…カラオケでも連れてってやろう。本当？行ってもいいけど…』

何気ない日常会話が聞こえる。このへんに機密情報はないみたいだ。
「待って、ちょっと飛ばすから」
海斗は画面をいじり、少しだけ未来の音が聞こえるようにした。

『…ねえ、もう冷酷キャラでいるの疲れたんだけど。花笑ってば、後輩の前でなきゃ1分も持たないんだから…』

冷酷キャラ。花笑。
つまり、三浦花笑さんの性格は、作り物。声のトーンも、俺たちに話す時と全然違う。これは大きな発見だ。

「…ってな感じなんだけど」
俺たちは、音声を一通り聞き終えた。昨日メールで送られてきたから知っていることだけど、改めて衝撃が走った。
「音声データも、よければメールで送るから」
「サンキュー、海斗」
戦利品を前にして、3人でひたすら海斗を誉めちぎった。海斗は気分が上がったからか、紅茶とメロンソーダを混ぜた謎ドリンクを飲み始めた。満足そうで何よりです。