僕らの世界4 (ページ28)

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新海さんって… ページ28

空の青と赤が綺麗にグラデーションしている。大分時間が経っていたように感じていたけど、実際は5時を回ったところだった。
俺ー進藤海斗ーと新海さんの間に流れる空気も、青と赤の中間みたいなモヤモヤした色みたいだ。一緒に帰っているのに、別行動してるような、ぎくしゃくした感じがする。
「…」
「…」
沈黙が刺さる。何だろう、このやりにくさは。
「…新海さん、俺が逃げてる間、何してたんですか？」
俺は、タイミングを見つつ気になっていたことを訊いた。
「それ聞いちゃう？
ちょっと口喧嘩。暴力になる寸前に進藤くんが来て、今に至る」
「あ、そうだったんですか」
また、会話が止まる。正直、初めて会った時のサキより話が続かない。やりにくい。
「新海さん、喧嘩強いんですか？」
「えー…まあ、強いっちゃ強いかな。去年、現生徒会の福島と青葉と、2対1で喧嘩したんだけどさ、結構いい勝負だったよ」
「へぇー」
「でも、まあケガもした。ほら、こことか」
そう言って新海さんは右手を見せてくれた。握手をした時にも見た、深い傷。争いの激しさが伺える。
「腕試ししたかったら、俺んとこに来な」
「いや、やめときます」
「つれねぇな」
新海さんは笑った。その顔を前にもどこかで見たような気がして、色々思い出そうとした。

「あ、もしかして新海さんって、妹さんいますか？」
「おう、いるけど。知ってんの？」
「彩花ですか？」
「ああ、そうそう。進藤くんと同い年」
「やっぱりか！」
霞がかってモヤモヤしていた俺の周りの空気が、一気にクリアになった。今日イチでスッキリした。