僕らの世界4 (ページ26)

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因縁ページ26

「お前ら、あの時はよくもなァ」
新海は、残った4人を順に睨む。
「未だに過去のことをウジウジと、何がしたいんだ」
貴大は一歩前に出て新海を睨み返す。
「それを言ったら、自分らにとって都合の悪いことを全部水に流そうとするお前らは、不誠実だ」
「あれだけ暴れて、よくそんな清く正しそうなことが言えますね、センパイ」
貴大の挑発に、新海はあえて全力で乗った。
「あァ？またやんのか？」
指をバキバキ鳴らして、メンチを切る。
「喧嘩なら俺だけにして下さい。あいにく花笑と純と菜々は武闘派じゃないし、キョーちゃんは不在なので」
「貴大くん…」
花笑が目で訴えるが、貴大は
「巻き込まれないうちに逃げて」
とだけ言ってまた前を向き直した。
「貴大、もういいから。これ以上の面倒は避けよう」
純も貴大を止めようとするが、貴大は全く揺らぐことがなかった。
「…すぐ終わるから、先行ってて」
「完全なるフラグだな」
新海は笑った。
「さて、やりますか」
「いざ」
2人が向き合い、決戦が始まろうとしたその時。

「新海さん、捕まりました」

すっとぼけた声と共に、海斗と恭輔が登場した。海斗は、何とも言えない苦笑いをしている。恭輔は息を整えてから、海斗に質問をした。
「君、名前は？」
「進藤海斗」
職務質問をする警察官みたいな言い方に、海斗は「何だこのひとは」と思った。
「陸上部？」
「はあ、元ですけど」
「短距離？長距離？」
「最初は短距離で、途中から長距離に転向しました」
「だからかな？すげぇいい走りしてんな」
「はあ」
「コイツの走りに免じて、今日のところは見逃そうぜ」
その場にいた全員が、「コイツ何言ってんだ」と思った。しかし、恭輔の屈託のない笑顔を見て、誰もそれを口にする気にはならなかった。
「…分かった。よく分からないけど、分かった。今日は解散にしよう。先輩も今日はやめときましょう」
純がそう言うと、みんな納得して帰り支度を始めた。
「君、いい仕事したじゃん。喧嘩止めて、いい走り見せてくれて」
海斗はただポカンとしている。やはり、何が起こっているのか分からない。
「俺には劣るかもだけど、また陸上部に入ればもっとよくなるんじゃね？これ、俺の連絡先。何かあったら連絡して」
恭輔は一方的に連絡先をよこし、海斗は戸惑っている。ただ、いいひとだということは何となく感じていた。