僕らの世界4 (ページ22)

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単独行動・2 ページ22

「今ちょうどやってるみたいだから、こっそり入るといいよ。俺が案内するから」
新海さんが小さな声で耳打ちすると、俺は無言で頷いた。
俺は、今から高等部の生徒会に潜入する。ショージに断ることなく、新海さんの許可だけでここまで来た。絶対にこの情報を知られないために、新海さん以外の誰にも話していない。
「ここから先は、君だけで行くことになるけど、大丈夫か？」
生徒会室の脇の柱に隠れると、新海さんはそう言った。
「はい、多分」
「それじゃ、グッドラック」
新海さんはそう言ってどこかへ行ってしまった。
ここからは、本当に本当の単独行動になる。失敗しても、助けてくれる人はいない。降り注ぐ矢の中を進むくらい危険な任務だけど、成功したら有力な情報を得られるはずだ。

さあ、行こう。

ポケットに仕込んだ録音機を確認してから、ドアを覗く。
議論が白熱しているのか、誰も俺には気付いていないようだ。よく見ると、この生徒会室は、隣の会議室と繋がっているらしい。生徒会室のドアを開けて入るなんて野暮なことはしないで、そこから入ることにした。

「…ねー、まだ？いつまで続けたらいいの？」
「当分かな」
「貴大くん、何とか言ってよー！」
「えー…じゃあ、ゴールデンウィークにカラオケでも連れてってやろう」
「本当？」
「行ってもいいけど、中等部の人がいないような所ね」
「どこよ、それ」
何を話しているのかと思えば、どこにでも転がっているような雑談だった。
しかし、次の瞬間。

一番奥にいた人の顔を見て俺は驚愕した。

いつもファミレスで見る、あのひとだった。