僕らの世界5 (ページ47)

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インターハイへページ47

「キョーちゃーん！！」
「頑張れー！」
「恭輔ー！！」
恭輔は現在3位。残り1000mを切り、トップの選手が一気にスパートをかける。2位以下を引き離し、独走中だ。恭輔は、2位の選手の後ろにぴったりと付き、逆転のチャンスを虎視眈々と狙っている。
インターハイ予選、陸上男子5000m決勝。インターハイ出場がかかった大切なレース。ホームストレート前の席を陣取った渚学園・星が丘学園の面々は、必死で恭輔を応援していた。5人の中で唯一運動部に入っている恭輔は、大会があるといつも応援に駆けつけてくれる仲間がいる。休日は、意外とみんな暇なのだ。
菜々が「キョーちゃーん！」と名前を呼ぶと、それが伝わったのか、恭輔は2位の選手に並び、まもなく抜き去った。この時点で1位との差は約10m。そして残りは600m弱。
先手必勝！
恭輔は、自分を奮い立たせてギアを上げた。
だんだん詰まる距離。近付く足音。並ぶか、抜くか…

「どうしてそう守りに入るんだ、恭輔は」
突然出てきた、叱られた記憶。去年の夏、コーチからそう叱られたんだ。本選に進めればいいってもんじゃない。センスはあるのだから、記録にこだわれ。そんな言葉が、脳裏に谺した。

「頑張ってー！」
「恭輔ー！」
4人でスタンドから叫び続けるうちに、恭輔は1位の選手にじりじりと近付いていった。スパートをかける。短距離選手のような早さだ。ラスト一周の鐘が鳴る。
「キョーちゃん！抜かせー！！」
菜々のソプラノが響く。ほぼ同時に、恭輔はトップに立つ。
「行けー！」
しばらく付きつ離れつの状態が続いたが、残り200m地点から少しずつ差が開いていった。

激烈なデッドヒートを制したのは、恭輔だった。2年生にして、表彰台の一番高い所に立った。メダルを首からかけた恭輔は、最高の笑顔を生徒会メンバーに送った。
「インターハイでも最高の結果で終われるよう頑張ります」
疲れを全く感じさせない爽やかな表情で、戦いを制した勇者は語った。