彩花ちゃんとサキちゃん・3 ページ46
「ねえ咲ちゃん」
私ー新海彩花ーは、どうやって咲ちゃんに話しかけるかあれこれ考えた末、ごく普通に話しかけた。
もうすぐ1学期が終わるこの時期に、新しい関係をつくるような人はまずいない。友達に咲ちゃんと仲良くなりたいと話したら、笑われた。でも、それでも仲良くなりたいと思った。咲ちゃんみたいな子とは、付き合ったことがないけど、なんか面白そうだから。ショージも応援してくれたし。
本を読んでいた咲ちゃんは、しおりを挟んでから私をチラリと見た。
「…新海さん?」
「あはは、名字にさん付けって!彩花でいーよ」
咲ちゃんは、無言で頷いた。
「咲ちゃん、お弁当一緒に食べない?」
「…うん」
咲ちゃんの返事を確認すると、私はすぐさま咲ちゃんの手を引いて屋上へ続く階段を上った。
「おう、お揃いで」
屋上のベンチには、先客がいた。
誰かと思えば、ショージだった。
「ほい、どーぞ」
ショージは、パンをくわえたままベンチの端まで移動した。
「ぼっち弁なの?」
「違えよ」
ショージは片手でスマホを操作していた。原則使用禁止のものを、しかも片手でパンを食べながら。
開かれていたメールの画面には、『海斗』の文字。
「海斗と連絡してたの?」
「そ。教室じゃ堂々とメールなんてできないし。あ、今見たことは秘密にしといてよ」
「りょーかいでーす」
私たちは、ベンチに座って弁当を広げた。
「サキちゃん、もしよければ彩花ちゃんと仲良くしてあげて」
咲ちゃんは、こくりと頷いた。
話してみたら、意外とノリがよかった。生徒会で一緒のショージがいたからかもしれないけど、結構盛り上がってた。部活をやっていた頃の話は衝撃だったけど、話しかけてよかったと思う。
「彩花ちゃん、サキちゃん、海斗に送る写真撮っていい?」
「いいよー、咲ちゃん、もっと寄って」
咲ちゃんの肩を引き寄せると、思ったより細かった。
最近流行りの小顔に見えるポーズをして、ショージに何枚か撮ってもらった。
後で見せてもらったら、咲ちゃんは普段じゃありえないくらい明るい笑顔で映っていた。そして私は、8枚撮ったうちの半分が目をつぶっていた。「写真映りサイアクじゃん!」とショージに笑われた。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時