プロジェクト始動 ページ40
「えー…お集まりいただきありがとうございます」
Z021年7月、そのプロジェクトは純の堅苦しい挨拶で始まった。俺ー青葉恭輔ーはそういうのは苦手だから、
「見知った顔なわけだし、挨拶はそれくらいでいいんじゃないか?」
と、ゲームのスキップボタンを連打するように言った。
今日は、渚学園高等部生徒会室に、渚学園・星が丘両校、中等部・高等部の生徒会メンバーが集結している。夏になってただでさえ暑いのに、13人も入ったから脳ミソが溶けそうで、見かねた菜々ちゃんがクーラーをつけてくれた。「何も言わなくても通じちゃうんだよなー」なんて言ったら、純に恨めしそうな目で見られた。
「はいはい。…文化祭プロジェクト始動ということで、実行委員を選出したいと思います。とりあえず各グループ2名ずつ」
「じゃあ、俺たちは確定だな」
星が丘高等部の貴大と花笑は問答無用で実行委員に。揉めることがなくて気楽だな、向こうは…
「純、やりなよ」
「そう言う神河がやれよ」
一方、渚学園高等部は、俺をのけ者にして純と菜々ちゃんが揉めている。酷いよ、まったく…
「キョーちゃん、やってよ」
しばらく傍観していると、矛先が俺に来た。俺も正直ちょっと面倒くさくて嫌なんだけど。
「えー…」
「男だろ、キョーちゃん」
「お前も男だろ!」
中等部の面々に助けを求めようとしてチラッと目をやると、真帆が「早く決めろノロマ」といった感じで睨んできた。どいつもこいつも…
「ここは正々堂々、ジャンケンだな」
純が、スッと拳を突き出す。
「乗った。一番勝ちが実行委員免除で」
「オッケー」
純も菜々ちゃんも、目がガチだ…
「出さなきゃ負けよ、ジャンケンポイ!」
俺はパー、純と菜々ちゃんはチョキ。
「くっそぉぉー!」
「働け青葉会計」
貴大が無言でポン、と肩に手を置いてきた。
「慰めとかいらねー!」
俺が嘆いているうちに、2人の決着もついた。菜々ちゃんに決定。
「働け神河副会長」
中等部は、東海林くん、三浦くん、真帆、浦部くんというメンバーに決定。当分はこの8人を中心に進めていくことになる。
「じゃあ、実行委員長にキョーちゃんを推薦します。賛成の方は拍手をお願いします」
純が勝手に拍手を募ると、俺以外の全員が手を叩いた。真帆なんか、ものすごいスピードで叩いている。生意気な…
「ということで、実行委員長は青葉恭輔くんに決まりました。今後の進行は君に一任します」
純は改めて俺に進行の仕事を投げてきた。あー、面倒なことになった…
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時