神童・3 ページ38
「…!」
俺ー進藤海斗ーは、驚きのあまり声が出なくなった。
父さんの予測では、400点台も夢じゃない、ということだったけど、まさかこんな結果になるとは思ってもみなかった。
総合学年1位。
寝不足で幻覚でも見えたかと思ったけど、何度見ても、総合学年1位。
「海斗、すごい!1位じゃん!」
真帆がバシバシやってきて、その痛みでこれが現実だと悟る。
俺、1位?
ショージに勝って、雄一にも勝った?
父さんの予測以上の、最高の結果!
「ヨッシャー!」
ここでやっと実感が湧いてきて、思わず叫んだ。リアルに舞い上がりそうだった。比喩じゃなくて、もうすでに20cmくらい浮いてるんじゃないかと思う。それくらい、最高に嬉しかった。
「今回は、海斗の勝ちだ」
うなだれてそう言うショージを見たのは、何年ぶりだろう。小学生の時、ありとあらゆる場面で勝負をしていた頃みたいだった。
「不登校生活、相当充実してるんじゃない?」
真帆が、俺の結果を分析しながら訊いてきた。
「まあ、それなりに。父さんが勉強教えてくれたんだ、今回のテストは」
「そんな短期間で変わるもんなのか」
ショージも、スマホの電卓をいじりながら感心して言う。
「登校する日が減れば減るほど点が上がるなんて、学校にとってはすげえ皮肉かもしれないけどな」
冗談めかして言うと、ショージも真帆もゲラゲラ笑った。生徒会メンバーがこんなこと言っちゃダメだろうけど、今日は3人とも「まあいいや」と意思が合致したので、心おきなく笑わせてもらおう。
「海斗、復帰とかって考えてる?」
笑いが収まった頃、ショージに訊かれた。わりとガチのトーンで。さっきとのギャップに少し戸惑った。
「復帰…今のところノープラン。でも、高校に行くまでには復帰したい。今年中に直して、高校からはまたゼロから始めようとは思う」
スマホのカレンダーを開いて、
「このへんからは、物理的に復帰は可能」
と7月下旬を指差す。
「でも、この時はもう夏休みだ。夏休みが終わる頃に俺がどうなっているかは分からない。よってノープランだ」
「なるほど。じゃあ私たちは気長に待つか」
そんなわけで、俺の復帰は持ち越し。でも、1位だったことは父さんに伝えよう。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時