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久しぶりの日曜日 ページ33

俺は、正直に全て話した。俺は不眠症かもしれないということ、学校に通っていないこと、それでもサキや雄一のように新しい友達ができたこと。でも、うっかり生徒会に入ってしまったことは言わなかった。全て正直に、じゃなかったね。でも、話がこじれて面倒になりそうだったから。
「今朝、早くから起きていたのは、そういうことだったのか」
「そう」
父さんは、がっかりしたような、びっくりしたような顔で、
「分かった、もう少し早くに話してくれてもよかったけど、まあいいや」
と言った。とりあえず、認めてはくれたらしい。よかったー…
「不眠症で学校に行くのは辛いだろうから、とりあえず直るまでは何も言わないでおくよ。父さんも高校生の時、昼夜逆転しててちゃんと学校行ってなかったから、行きなさいなんて言ったところで説得力ないし」
「そうなの?」
それは、初めて聞いた。父さんのことだから、エリート路線まっしぐらだと思ってたのに。
「そうだよ。寝なさいって言われると、全然寝れないよな。結局そのまま朝になって絶望、とか」
「うん、でも日が昇ると眠くなる」
「そうそう」
父さんは、笑って頷いた。今まで同じ不眠症の人に会ったことがないと思ってきたけど、実はこんなに身近にいたなんて知らなかった。同じ症状を抱えていたからこそ、何か通じるものを感じた。
「でも、自分で直そうと思って直せるようなもんか?」
「不可能ではないと思う。変な時間に寝ても、起きる時間がちゃんとしてれば戻ってくはず。毎日10分くらいずつ時間をずらして起きれば、あと1ヶ月強で直る。上手くいけばの話だけど」
「すごいな、頑張って」
父さんは感心している。俺の心配と苦労は杞憂だったらしい。
「所で、次のテストはいつだ?」
急な転換に、俺は戸惑った。次に何が起こるか分からないから。
「えっと…2週間後」
「ちなみに前のテストの結果は?」
俺は、一旦部屋に戻って、答案が入ったファイルを引っぱり出して父さんに持って行った。
「500点中、208点か…」
父さんは、どこかの国の評論家みたいに答案を見ている。
「2週間で詰め込めば、300点超えられるかもな」
「え?」
父さんの口からは思いもよらぬ言葉が出た。確かに最盛期(?)は300点ちょっと取れてたけど、学校に行っていない(ちなみに、テストは保健室や空き教室で受けている)今はちょっと難しいと思う。
「父さんも時間に余裕が出てきたからちょうどいい。特訓決定」
「え?」
こうして、俺が勉強できるように、父さんに毎日教えてもらうことが決定してしまった。

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作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時

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