道場破り ページ16
突然、勢いよくドアが開けられた。ドカンと派手な音がして、花笑はドアが外れたのではないかと思った。
「相変わらずだな」
生徒会室を一瞥したその人物は、馬鹿にするようにそう言う。そしてそこに足を踏み込もうとした。しかし、貴大が
「入る前に、言うことがあるんじゃないですか」
と言ってそれを阻止した。
「中で話すのが嫌なら、そっちが廊下に出ればいいだろ。俺は、福島貴大、お前に用があって来た」
ドアの前に佇む人物は、不機嫌そうに指を鳴らした。
「何でしょうか、俺は今忙しいんです。喧嘩になんぞ付き合ってられませんから、お引き取り下さい」
貴大は、ひるまず淡々と返答した。
「誤解しないでくれ。俺は、喧嘩をしに来たわけじゃない。『例の事件』を精算しに来た」
「さっきも言いましたが、俺は今忙しいんです。アポもなしに突然来られても困ります。とにかく今日は無理です。帰ってください」
生徒会室に、ピリピリした空気が流れる。一触即発とはまさにこの空気のことを言うのだろう、と花笑は思った。
「手帳か、カレンダー出せ」
まるで強盗のような口調と形相でその人物は言った。貴大はスケジュール帳をカバンから出すと、
「これでいいですか」
と尋ねた。生徒会室の外にいる人物は、何も答えずに指示を出す。
「今から言うことを書け。6月10日午後4時30分、新海京也との例の事件を精算。以上」
それだけ言って、新海京也はドアを開けた時よりも強い勢いで閉め、その場を去った。
花笑は、怯えていた。
「大丈夫だ、俺がどうにかする」
貴大は、そう言うことしかできなかった。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時