僕らの世界5 (ページ15)

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おかえりページ15

「久しぶりだね」
図書室の扉を前にして、僕ー伊達凉馬ーは少し緊張した。ここ最近、文芸同好会会長の本分も忘れて生徒会活動に明け暮れていたから、ここに入るのは久しぶりだ。前は毎日のように出入りしていた場所も、ちょっと入らないだけですごく懐かしく感じる。
「夏休み明けみたい」
隣で青葉が言う。
「鍵を借りに行く時も、もう『2年C組の青葉』じゃなくて、『3年A組の青葉』になったしね」
「つい、言い間違えそうになるのが怖いよ」
他愛もない話をしながら手を動かして、やたら固い鍵を開けた。

「ただいま」

そう言って中に入ると、いつもの景色がそこにあった。でも、床にはホコリが。
「…まず、掃除しない？」
青葉が訊いてきた。
「賛成だ」
そして、僕らの今年度初の活動は、図書室の掃除ということになった。

「はー、結構キレイになったね」
「うん…」
僕は、さっきからずっとクシャミが出そうで出ない。ホコリが降ってきたり、巻き上がったりして、2人で何度もクシャミをした。おかげで持っていたポケットティッシュがすっからかんだ。
「やっと落ち着いて読書できる…」
ため息をついて、本棚の本を片っ端から見て、読む本を選ぶ。「第2ボタン」、「夢の終わり」、「15」…
どれにしようか決めかねていると、ふと気になる本を見つけた。

『おかえり』

まるで、図書室が僕らにそう言っているみたいだ。本を通してのメッセージってやつだ。白いシンプルな表紙のその本を手に取って、パラパラとめくってみる。

よし、これにしよう。

早速、窓際の僕のお気に入りの席に座って図書室からのメッセージを開いた。