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生徒総会・2 ページ2

凉馬たちと、髪のハネや襟をさんざんチェックしたから、たぶん見た目は大丈夫。ただ、男子3人の言う「髪のハネ」の認識が、私ー青葉真帆ーのそれと一致しているとは限らないけど。


生徒総会は、体育館で行われる。400人近い生徒が集まっているのに、しんとしている。それが私の緊張を煽ったけど、顔には出さない。私は、生徒会長。堂々としていなくてはならない。そう自分に言いきかせて、ステージに上がり、挨拶をする。
自己紹介が終わると、生徒会のシステム、スローガン「和協等輝」の説明、年間行事のことなどなど、学校のいろはを説明した。


ショージのいる星が丘学園は、昨日、生徒総会があったらしい。電話で、「失敗した…」と嘆いていた。普段はあまり落ち込むことがないショージも、昨日はかなり凹んでいたみたい。私は「生徒会長として、お互い頑張ってこう」と言って電話を切った。けど、それってつまり、私も同じ失敗をする可能性があるってことだと思った。不安だった。

でも、実際にやってみたら、意外と大丈夫だった。私は今、自分の出番を終えて、他の生徒と同じように会計報告に耳を傾けている。なんだ、平気じゃないの。緊張して損したような気さえしてくる。

そういえば、翔先輩は私に「あーちゃんは、憑依型なんだよ、多分」と言っていた。要するに、堂々とした生徒会長を演じるのが上手い、ということ。先輩によると、私は「渚学園3年・青葉真帆」と、「渚学園生徒会長・青葉真帆」の2つの顔を持っているんだって。いまいちピンとこないけど。


「あー…緊張した。副会長が司会って…特に仕事がないからって、僕に回さなくたっていいのに」
生徒総会が終わって体育館からほとんどの人が出ていった頃、凉馬は力が抜け切っていた。肩をだらんと落として、完全に脱力モードだ。
「僕も緊張しました」
瀬戸くんも頷く。
「いやいや、めちゃくちゃスラスラ話してたじゃん…瀬戸くん、アナウンサー目指した方がいいよ」
「いえ、僕は航海士志望なので」
凉馬のひがみとも取れる言葉を、瀬戸くんはあっさりかわした。それがおかしくて、私と浦部くんは噴き出した。
「考えすぎだ、2人とも」
浦部くんは、吹奏楽部でステージ慣れしているからか、終始余裕の表情だった。最近かけ始めた眼鏡のフレームを指で押し上げながら、緊張で疲れた2人を苦笑いで見ている。
「この後、青葉んちに集合だっけ」
「ああ、そうだ。早く片付けて教室に戻ろう」
「だね」
4人で体育館をてきぱき片付け、入ってきた時と同じように復元してから、私たちは一旦解散した。

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作品ジャンル:純文学
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時

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