生徒総会・1 ページ1
「生徒会長の、東海林隼です」
こう言うのも慣れてきて、最近はさりげなくカッコつけれらるようになってきた。ちなみに、プロデュースはBLUE LEMONイチのイケメンである凉馬。でも凉馬はたまにセンスが奇抜すぎることがあるから、浦部くんや真帆にも確認してもらったけど。
今、俺ー東海林隼ーは、生徒総会に生徒会長として参加している。挨拶を終えると、会計の三浦くんが何やら小難しい話を始める。途中まで聞き流していたけど、最後の最後には収入と支出がピッタリ同じになって、ちょっとスッキリした。
その後も委員長挨拶や部長挨拶があり(美化委員長の三浦くんは忙しそうだった)、まあ、普通に考えればすごく退屈な時間だった。俺が言ったらおしまいだろうけど。
ちらりと右を見ると、俺の隣の席は1つ空いている。昨日、俺は電話で海斗に「生徒総会はできれば出てほしい」とお願いした。でも、やっぱり来なかった。
先生たちもそれは承知だったから、椅子を3つしか並べなかった。俺は海斗が来ると思って、最後まで「椅子、1つ足りません」と言い続け、海斗の席も用意してもらった。
それでも、来なかった。もしかしたら、と思ってはいたけど、本当に来ないと悟った時は、やっぱり寂しかった。
生徒総会は、俺が海斗のことを考えているうちに終わった。生徒会の取り組み紹介は噛みまくったし、礼をした時も1人だけタイミングがずれた。正直、最悪の出来だった。三浦くんに、「なんかボーッとしてたけど、大丈夫か?」と訊かれ、神河さんは俺の顔色を伺うような仕草をしていた。
ここで俺は、自分1人の無力さを痛感した。俺は、いかに海斗に依存していたかを。
この最悪のスタートを、海斗に言ったらたぶん海斗の気持ちも揺らぐ。言わないでおこう、と思った。
でも、真帆には話そう、となぜか思った。たぶん怒られるけど。
それから、怒られてもいいや、真帆なら聞いてくれるだろう、と考えを変えて、俺は全速力で家に向かった。気分は帰宅部のエースだった。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時