事前準備 ページ24
「貴大くん…」
花笑は、貴大に不安の目を向ける。
6月10日、午後3時30分。星が丘学園高等部生徒会では、新海京也を迎え撃つための作戦会議が開かれようとしていた。
「花笑は、大人しくしてて。俺がどうにかするから」
「でも…」
「分かってる。顔面だけは気を付ける。前みたいにはならないようにするから」
花笑をなだめていると、突然生徒会室のドアが開けられ、貴大は身構えた。
「福島さん、姉さん、連れて来ました!」
しかし、出てきたのは雄一と天満だった。
「浪越天満です」
「福島貴大だ」
簡単に自己紹介をすると、貴大は作戦の説明を始めるためにカバンからレポート用紙を取り出した。
天満は、新海の弟子の弟、ということで召集がかかった。天満自身も「天星に代わって責任を取る」ということで志願した。
「ギリセーフ!」
勢いよくドアが開けられ、スライディングで恭輔と隼が入ってきた。生徒会の面々の中でも身体能力が高い2人もまた、召集がかかっていた。これで、対新海の精鋭部隊が揃った。
「本来なら、俺とキョーちゃんだけで応戦するはずだった。しかし、浪越くんたっての希望で、第1線には浪越くんを配置する。浪越くんには、とりあえず説得だけしてもらう。もしダメだったら、俺とキョーちゃんの出番だ。その場合、乱闘が予想される。浪越くんは、説得が上手くいかないと思ったらすぐに下がれ。東海林くんは、俺とキョーちゃんが劣勢だと思ったら参戦願う」
「劣勢だと思ったら、ですか?」
危険な仕事に少しワクワクしていた隼は尋ねた。自分は、途中参戦なのか?と思った。
「ああ、さすがに中学生を最前線に出すわけにはいかない。それに、サッカー部のスタメンならもっと自分を大事にしてほしいっていうキョーちゃんの希望でもある。いいな?」
「はい」
「花笑と雄一は、この辺りに人が寄って来ないようにしてくれ。会議室の机を全部廊下に出して、バリケードを作ってほしい。いちおう、会議室の掃除ってことで。生徒会室の様子を見ながら、慎重にやってくれ。新海が出てきたら、素早く机をどかす。以上」
「了解。貴大くん、本当に気を付けてね。キョーちゃんも、東海林くんも。雄一、ここからは連携プレーだからね」
「分かってます。姉さんと俺なら大丈夫だから」
新海京也迎撃まで、残り40分。生徒会室には、今までにないような緊張感が立ち込めていた。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年5月18日 20時