【転生者物語】最初の切り札 (ページ8)

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第7話ページ8

あれから少し歩いて、何事もなく市役所までやってきた。

相変わらずエースはこれから遊園地にでも行く子供のようにはしゃいでいる。

おかげでこっちはクタクタだ。

＿＿普通の親の気持ちがよく分かる。

道中。「早く来いよ」とエースに言われ続け、ジョーカーはそんなことさえ思い始めていた。

市役所は、やはり見上げるほどではあるが比較的小さな建物だった。

淀んだ黒い壁に、銀縁のガラス窓。あいにく緑色のカーテンで、中の様子は外から窺うことができないが、これからお邪魔するのだから問題ないだろう。

「おいジョーカー」

じっと建物を見つめているだけのジョーカーに、はしゃいでいたエースは話しかけた。

「なんだ？」

「そろそろ中にお邪魔しようぜ。外で見てんのも飽きたしな」

ジョーカーは腕時計を見た。短い針はもう一を差し、長い針はもう少しで十二を差そうとしていた。

「そうだな、そろそろ行こうか」

「うっし！」

エースはガッツポーズをした。

＿＿市長室の扉が開き、男が二人入ってきた。

「よく来てくださいました。どうぞおかけください」

市長は椅子に腰を預けたまま二人を迎え、二人は市長と向き合う形で座った。椅子の座り心地はあまり良くなく、デザインもかなり変わったものだった。

「なんだこのい･･････ふごっ」

エースの本音を、ジョーカーは手で制する。

「それで、暴走族の件でしたよね」

ジョーカーは手を膝の上に戻し、エースには目で静かにしてろよと訴えると、市長の言葉に応じた。

「はい。私は昨日････････････」

今に至る過程を市長に説明すると、市長は「確かに不思議ですね」と首を傾げて言った。

「それで依頼主の市長さん。あなたに暴走族はどんなものだったのかを聞きに、ここへ参りました」

「なるほど。ならば嘘偽りなく、お話ししましょう」