プロローグ ページ1
少年は男を殴った。
眩しいぐらいの金髪頭と純黒のサングラスが、同時に音を立てて地面に落ちる。
「まったく、物騒な世の中になったものだな」
殴り倒した男を見つめて少年は言い放った。
サングラスの男は、腹を抱えてうずくまり、うなり声をあげている。
先ほどこいつは、通りかかりの少年に「金を出せ」と言い寄り、ついにはメリケンをつけて殴りかかったのだ。
だが運が悪かった。少年が普通でなかったからだ。
彼はここアルメニア王国のごく一般的な夫婦の間に産まれた。
いや、ごく一般的『だった』夫婦と言うべきだろう。
夫婦は少年の誕生を心から祝い、そして愛した。
しかしあることを境に、夫婦は急変する。
夫婦は賭け事にはまってしまったのだ。
無駄に運の良かった夫婦は毎晩数百万を抱えて帰宅し、やがて少年を放っておくようになった。
愛されなくなった少年は、十の時両親を信じられなくなり家出。
路地裏で独り生きてきた。故に、少年は強いのだ。
「なぜ俺に襲いかかった?」
瞳の奥をのぞき込むようにしゃがみ、倒れた男に問う。
男は何も答えなかったが、少年は僅かな表情の変化からすべてを見切った。
「金か?」
少し驚いたように見えた男は、震えながら頷いた。
「もう・・・・・・こんなことするんじゃないぞ」
男が真の道を見つけることを信じ、持っていた金の半分を男の手に握らせた。
少年は切り札。世界を変えるかもしれない切り札。
名を、『ジョーカー』
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北斗七星(プロフ) - 日向信乃さん» ありがとうございます。お願いします (2016年11月28日 20時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
日向信乃(プロフ) - 北斗七星さん» 良いですよー! 此方からボードに伺っても宜しいでしょうか? (2016年11月28日 20時) (レス) id: 8b41fe3180 (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 日向信乃さん» ありがとうございます。せっかくなので関係組みませんか (2016年11月28日 18時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
日向信乃(プロフ) - 私のキャラも使って頂いていいですよ! (2016年11月28日 18時) (レス) id: 8b41fe3180 (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 黒氷さん» ありがとうございます (2016年11月25日 21時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
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