【小説】ネクサス魔法武術学園2 (ページ38)

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秘密の部屋Ⅱ(神城裕莉) ページ38

『…美夜たち、秘密の部屋に入ったみたいだよ。』

檸檬がそう言ったのと、壁に扉が現れたのはほとんど同時だった。

兎を模した金色のドアノブがついたダークオークの扉。

「…美夜が好きそうな雰囲気だね。」

『アイツもこーゆーの好きなはずだよ。』

「流石、血の繋がりを感じる。」

『あはは…変な所まで似ちゃったからね。』

苦笑を浮かべる檸檬を無視して、ドアノブに手をかける。

「コレ、一々あんな長い詠唱しなきゃいけないの？」

『いや、一度開ければ［開］って唱えただけで部屋の中に移動できるよ。』

「…スゴイね～。とりあえず、行こうか。」

『うん。』

檸檬の返事を聞いてから扉を開いて足を踏み入れる。
一瞬、扉の奥に見えたのは闇。
でも、今ボクの目の前に広がるのは美夜が好きそうな雰囲気の部屋。

ダークオークに縁取られたガラス窓。
金と銀の装飾が施された白い壁。
その壁に取り付けられた、様々な本が並ぶ純白の本棚。
その横には、見たこともない魔法道具が飾られているガラスケース。
そして、奥には先ほど開けた扉と全く同じ扉が備え付けられている。

「流石。ここからも血の繋がりを感じる。」

『だねぇ』

そんな会話をしていると、奥の扉から美夜が出てきた。

「あ、裕ちゃん。ここに居たんだね。」

「うん。…美夜、アレは見つけたの？」

「ううん、今探してるところ。ここ、1つの家になってるみたいで…探すのにも一苦労だよ。」

そんな事を言いながら窓から外を見つめる美夜。

「ここ、本当に違う場所につながっているみたいなんだよね。さ玄関から外に出れたし…。そして、外で出した扉と繋がるのが、裕ちゃんの後ろの扉見たい。」

そう言ってボクの後ろを指す美夜。

『お～い。見つけたよ。』

突然背後から聞こえた林檎の声に少し驚く。

「え、なんで…林檎その扉から出てきたの？」

『この家の扉はね、繋ぐ場所を変えることができるの。それができるのは2人と私たち。そして、アノコだけみたいだけど。』

そう言いながら、美夜に黒い本を渡す林檎。

(渡して早々、檸檬とイチャつくのはやめてほしいけど。ボクも2人のことは言えないかな。)

「裕ちゃん、一緒に見よう。」

そう言って手招きする美夜。
近くによれば手をとり、違う部屋に連れて行かれる。

「ここは…？」

「…多分だけど、読書用の部屋。書斎かな？ソファも椅子も机も本も沢山あるし。」

そういいながらソファに座る美夜。
その横にボクが座ると、本を開いた。