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レッドカード(日下部 夜紫乃) ページ23

日下部夜紫乃は人見知りである。故に友達はあまり多くない。否、一人もいない、という方が正しいだろう。人前に出たらよしのんが失礼なことを言うか、慌てて逃げ出すかの二択だ。

当然彼女はクラスで浮いていた。誰も話しかけようとせず、彼女も誰にも話しかけない。小学校の時からそんな状態だった。

そんな彼女は今、2年の教室の前にいた。服装のせいでかなり目立っているが、彼女は気にせずに教室の扉を開けた。そしたら当然注目されるわけで。騒がしくなってゆく教室に、のんきな声が響いた。

「ねえねえ君たちー。夜紫乃のお姉さんしらなぁい?」

大人しそうな彼女からは考えられないほど陽気な口調だ。周りの人たちは驚いていた。しかし、驚いている理由は違うが。今、彼女は口を動かしていなかった。ずっと閉じたままだ。今、口を開いたのは彼女の右手の”パペット”なのだ。

「ねぇ君、なんで”腹話術”で話してるの?」

彼女には禁句がある。それは”パペット”、それと”腹話術”だ。よしのんと自分は別人物だと信じてやまない彼女だから、いくら優しかろうと、いくら仲が良かろうとその言葉はレッドカードなのだ。何をしても怒らないが、こればかりは譲れない。

「………あはは!何言ってるの?よしのんはよしのんだよー」

口調は相変わらず陽気だが、その声には苛立ちが含まれていた。まあ名も知らない人が突然やってきてそのパペットが話し始めたのだから、腹話術だと思うのも無理もない。実際腹話術だが。しかし夜紫乃は相手の都合そっちのけでいくタイプだ。

しかしそれを理解していない二年生は怪訝そうな顔をする。声に苛立ちが含まれているのに気付いたのか、優しい口調で問いただした。それが仇になるとは知らずに。

「いや、だから、なんで”パペット”を使って話しているの?」

禁句二つ目登場。今や彼女の上級生に対する印象は最悪だ。なぜ三年生まで嫌うようになったのかは不明だが。夜紫乃は無表情のまま、立ち尽くしていた。次第に教室の温度は下がっていった。何事だと戸惑う二年生達を気にも留めず、夜紫乃は無意識の内に魔法を発動させていた。

夜紫乃の足元を起点にして教室の床が凍っていく。床だけではなく、壁もだ。外は雨と雪が合わさって霙になり、生徒達は慌てて廊下へ逃げ出した。冷気は廊下にまで広がり、やがて学校全体に広がるだろう。夜紫乃はただ姉に会いに来ただけなのになんでこんなことになったのか。それは神のみぞ知る、ということで。

黒の使い (ルナ・マリアの相棒:黒竜)→←照れ隠し(日下部 輝鞠)



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(プロフ) - 終わりました (2017年1月1日 23時) (レス) id: f9682346d9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新します (2017年1月1日 17時) (レス) id: f9682346d9 (このIDを非表示/違反報告)
チェス盤(プロフ) - 更新しましたー (2016年12月23日 13時) (レス) id: e293136629 (このIDを非表示/違反報告)
チェス盤(プロフ) - 更新します (2016年12月23日 13時) (レス) id: e293136629 (このIDを非表示/違反報告)
歌菜子 - 終わりました (2016年12月21日 20時) (レス) id: beed06bc94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:北斗七星 x他9人 | 作者ホームページ:kirito03  
作成日時:2016年10月29日 21時

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