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第29話『説明』 ページ29

「説明」


雪城はぽつりと呟いて、ポケットから小さな冊子のようなものを取り出した。その中に書かれているのは、例の果実のことである。


「えー、果実は少し特殊なものでな、月で発見された……生命の樹だったか、その木からとれたものだ。万病を治す力を持っていて、ん、超自然的能力を与える力も持ってるんだったか」

「雪城さん、カンペ見とるんにそんなんなんですか」

「じゃあ説明、頼む」


カンペ、つまりは冊子をパーカーのポケットに戻しながら、雪城はそう言った。一方、急に仕事を押し付けられてしまった誠夜は、一息おいて説明を続ける。


「治癒能力いうんは、死んでもうた人も復活させる力や。ほんで、もう一つの超自然的能力は神とか伝説上の人物の力なんやけど、使いすぎると暴走する。それがクライムや、さっき見たやろ」

「はい」


誠夜に促されるようにして、澪は頷いた。


「もー、雪城さん、ホンマに何で忘れてまうんですか」

「正直、リーダーになるまで果実の説明なんてしてなかったんでな。それに、別にクライムが倒せるだけの強さがあればいい」

「出た、雪城さんの実力論」


誠夜がそういうと、澪と卯月を除いたアトーンメントのメンバーが笑う。その様子を見ていた雪城だったが、何を思ったか、ドライマンゴーを取り出して、食べ始めた。


「あ、そうそう、お菓子あるんだけど、リーダーと誠夜には渡してなかった」

「お菓子? なんやそれ」

「俺が作ったやつ。野菜でできてるからカロリーも低いし」

「貰うわ」


誠夜は、龍馬に差し出された菓子の袋の二つを受け取り、そして一言。


「雪城さんも食べたほうがええですよ」


言い終えるか終えないかのうちに袋を押し付けて、自分は中の菓子を食べ始めた。


「うまいわ、これ」


誠夜は笑顔になる。一方で雪城は、マンゴーを飲み込んだところらしく、ラッピングのリボンを丁寧にほどいていた。


「おおきに、龍馬」

「うん」

「てか雪城さん、まだ食べとらんかったんですね」


ようやく解き終わったらしい雪城は、袋の中の菓子を一つ口に運んだ。
育ちがよいと言うべきか、わざわざ両手でもって食べる雪城を見て、龍馬がクスクスと笑う。


「悪くないな、しいて言うならイチゴとかがよかった」


雪城の感想は、実に淡々としたものだった。

第30話『部屋』→←第28話『寝坊』



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美坂るぅ(プロフ) - 更新日数的に、皆さんのキャラクターがお亡くなりになられていると思われます。 (2017年6月29日 20時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - これ以上リーダーにため口を使うキャラが増えると小説が成立しなくなりそうなのでやめてくだされば幸いです。 (2017年3月29日 15時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - スカビオサさん» 消してあったんですけどね…不具合で戻ってしまったようで… (2017年3月29日 10時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - スカビオサさん» 終わってますよ (2017年3月29日 9時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
スカビオサ(プロフ) - 美坂るぅさん» 更新終わりましたか?? (2017年3月29日 9時) (レス) id: b80a207be1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒幕 x他6人 | 作者ホームページ:( ˇωˇ )  
作成日時:2017年3月23日 10時

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