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第1話『未知の果実』 ページ1

暗くて狭い道を、走る少女は、薄紫の長い髪の毛をたなびかせ、息を乱していた。

時々現れる曲がり道を、右に、時には左にカーブして、後ろからの足音が聞こえなくなると、あわただしく動かしていた足を止め、振り向いた。

瞳に写ったのが、さっき自分が走ってきた暗くて、狭い道だけだったことに安堵の溜め息が漏れる。

乱れたままの息を整えながら、まだ先がある道をゆっくりと歩き始める。

しかし、その時彼女は油断していたのだ。

「いたぞ!」

声のする方向を見る勇気も湧かなかった。

後ろから聞こえる足音のリズムが、だんだんと狂っていくのを肌で感じた。

もう走るしかなかった。息が整うこともなく、また一段とひどく息を乱れさせ、またあわただしく足を動かしながら。

しかし少女はもう限界だった。落ちていた空き缶を踏んづけて、危ないと思った時にはもう遅い。コンクリートに右の膝をぶつけて傷を作ってしまった。

立ち上がろう。逃げよう。

こうしている間にも『彼ら』は近づいてくる。

そう思って前を向いたとき。絶望に顔を歪ませた。

「嘘……」と思わず声が出る。

壁が。分厚い壁が、少女の行き先を阻んでいた。

目の前の光景が信じられず、目に写ったものに触れるが、それは間違いなく少女のすべてを阻んでいた。

『彼ら』が追い付いて来た。

少女を見つけると狂った足音が一斉に止み、変わりに真ん中の男の、たった一つの足音がこだました。近づいてくる。懐刀からナイフを取り出しながら。

一見どこにでもいそうな外見をした男なのに、怖いと感じてしまう。

今すぐにでも走って逃げたい。だが、

足がすくんで、鳥肌が立って。

まるで蛇に睨まれた蛙のように、固まってしまう。

今の少女はまさに餌だった。

男が少女の肩に触れ、ナイフが首に突き付けられる。

自分で息ができているのかも分からなかった。
男は問う。

「果実はどこだ?」

果実とは、生命の樹の実のことを言う。

月で見つかったそれには、食べたものの万病を治し、死者をも生き返らせるほどの力がある。

渡すわけにはいかない。

「知ら……ない」

「んなバカなことがあるか。その鞄をこちらへよこせ」

見えすぎた嘘だった。鞄を強く抱く。

「さっさとよこせっつってんだろうが!」

強引に鞄が盗られた。男はナイフを少女の首から離すと、すぐに鞄の中を漁り、そして見つけた。『果実』を。

もうだめだ。そう思った刹那。

男を背後から、何者かが襲った。

第2話『救世主』→



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美坂るぅ(プロフ) - 更新日数的に、皆さんのキャラクターがお亡くなりになられていると思われます。 (2017年6月29日 20時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - これ以上リーダーにため口を使うキャラが増えると小説が成立しなくなりそうなのでやめてくだされば幸いです。 (2017年3月29日 15時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - スカビオサさん» 消してあったんですけどね…不具合で戻ってしまったようで… (2017年3月29日 10時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
美坂るぅ(プロフ) - スカビオサさん» 終わってますよ (2017年3月29日 9時) (レス) id: a41f8e5530 (このIDを非表示/違反報告)
スカビオサ(プロフ) - 美坂るぅさん» 更新終わりましたか?? (2017年3月29日 9時) (レス) id: b80a207be1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒幕 x他6人 | 作者ホームページ:( ˇωˇ )  
作成日時:2017年3月23日 10時

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