出会い (ページ27)

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伊野尾先輩にとりあえず座りなよと微笑みながら言われて頷くことしか出来なかった。

ソファに案内されて、

遠慮がちに座ったらすぐ隣に伊野尾先輩も座ってきて。

「最近まったく来ないから、俺、すごく寂しかったよ」

「す、すみません！意外と忙しくて…」

拗ねたように言う先輩が可愛いな、なんて密かに思う。

「あっ」
　

いきなり俺の方に体ごと向けてじっと見つめてくる伊野尾先輩。

　

「…？？あの…？」

恥ずかしさと戸惑いで困っていると、

「今、敬語使ったでしょ？…大ちゃんの嫌がること、しちゃうよ？」

「………っ！！！」
　

覚えてたんだ、それ…！
　

ニヤリ顔で言う伊野尾先輩はとても妖艶で。

…なに、されるんだろ。

ちょっと期待している自分もいて。
　

「(変態かよ、俺……！)」

その時、

フワッと身体が浮いたと思ったら、

何か柔らかいものの上に下ろされた。

「ふふ、大ちゃんの嫌がること～！」

「へ！？ぅわわっ！！、」

　

俺の身体は伊野尾先輩の膝の上に、向かい合うように乗せられてしまった。

うわ…うわっ！！どうしよう！？！顔近い！めちゃくちゃ綺麗！ってそうじゃなくて…！

と、とりあえずっ、

「お、下ろしてください～…！」

「だぁめ、今また敬語使ったでしょ？」

恥ずかしくて顔を手で隠そうとするが、

そうさせないように伊野尾先輩が俺の手首を掴んだ。

このままだとまじで俺、パンクする…

本当は先輩に向かってこんなこと、許されないけど…

「……いのちゃん、…下ろして…？」

意地を捨てた。

「……っ、大ちゃん、」

「ぇ、ちょ、っ！！」

それなのにむしろ逆効果で、向かい合わせで強く抱きしめられた。

「っあの、伊野尾せんぱ…」

ガラガラッ

「おーーっす！……って、え？」

　

「ひ、光くん…！」

「…ああ、どうぞ、ご自由に～！」

屈託の無い笑顔で、入ってきたばかりの生徒会室を出て行く光くん。

…………最悪だ。

とんでもないところを、光くんに見られてしまった。

さすがに伊野尾先輩も驚いたのか、

力を緩めてくれたのでその隙にサッと腕から逃れる。

途端に、けっこう恥ずかしい格好になってたんじゃ…とジワジワ羞恥が蘇る。