#19 ページ3
「何言って」
『B先輩、本当に仲良くしてくれて。信頼できる人やっとできたのにって思ったのに。......また失敗だな』
どこか遠くを見ながらもう全てを諦めたように力無く笑う彼女。
「俺は、なるよ」
『へ？』
「世界の全員がみんなAさんのことを敵対しても。俺は味方になる。」
俺も何を言っているのか自分でもわからなくなっていたけど。
今は必死に必死に儚くて消えてしまいそうなAさんを繋ぎ止めておきたかった。
『ありがとう、えっと.....』
「あ、俺、田中樹。よろしく」
『田中先輩.....？』
「樹でいいよ。そんな1年しか変わんねえし。』
『樹、くん。』
「いいじゃん。じゃあ俺はAちゃんって呼ぶから。よろしくAちゃん」
彼女に樹くん、なんて初めて呼ばれて自然に額が緩む。
これをきっかけに俺とAは仲良くなっていた。
それからAと俺は一緒にいることが多くなった。
『おはよう！樹くん』
最初は緊張していたけれど、少し経つと無邪気な笑顔で後ろから俺に追いついて挨拶してくるようになって。
「おう！おはよ。」
「A、お弁当一緒に食べない？」
お昼も屋上で一緒にご飯を食べて。
俺と、きょも、北斗、慎太郎の4人で食べたお昼にAが加わった。
最初は3人とも戸惑っていたけど俺が事情を話せば、納得して受け入れてくれて。
いつのまにか3人とも仲良くなっていて。
北「あー、A昨日のドラマみたよ」
慎「俺も観たよ！！あれ、CG？どうなってんの」
『観てくれたんだ。撮影めっちゃ大変だったんだよー！何回も撮り直ししてさ』
Aもいつのまにかこの輪に入ることを好んでくれるようになった。
『全部、樹くんのおかげだね』
体育をサボりたいとボヤいた優等生な彼女と体育をサボったときに俺の隣にいた彼女がつぶやいた。
「え？」
『私、高校生活なんて捨ててた。友達ができるなんて期待したけど多分無理だってわかってたし、青春なんて私には程遠くて。でもね、樹くんたちのおかげで今、私すっごい楽しいかも』
「俺も、Aのおかげで毎日楽しいよ？」
誰もいなくなって2人しかいなくなった沈黙の空き教室から見えるみんなの体育をやっている姿を見ながら、俺らはふたりでサボっていた。
これが、青春ってやつなのかもな、なんて思いなら。
でもこの青春はずっとは続かなかった。
それは、突然だった。
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うな！ - 更新楽しみにしています！ (7月30日 19時) (
レス) @page8 id: 4785f44992 (このIDを非表示/違反報告)
mai(プロフ) - TWICEのFeel Specialと少しリンクしていてグッときました…！！ (5月28日 21時) (レス) id: 9da369c8fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏 緒 菜 | 作成日時：2023年5月11日 0時
