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京「ちょ、樹、」
A「っ、は、なに田中。あんたもAの肩持つの?」
「ちげえよ、俺はお前らがこんなに堂々とAさんの悪口言ってるのがやばいって思ってんの。」
俺は楽屋の話が本当とかどうでもいい。というかそんな話元々信じてないけど。
それでも今の俺にはあの悪口はただの妬みにしか聞こえなかった。
だから俺は耐えきれなくて。
でも、きっとその時には彼女のことがとてつもなく気になっていたんだと思う。
いつのまにか目で彼女のことを追いかけていていて。今振り返るともうこの時俺は彼女を好きになりかけてたんだと思う。一度も喋ったことがない彼女に。
B「別に、悪くじゃないし。Aが悪い話。Aがいなければ私にもっとモデルの仕事もくるし、もっと女優の仕事も来る。私が受けたオーディション今まで全部Aに持ってかれてんだよ。Aさえいなければよかったのになあ」
なんて恐ろしいことを並べて大声で話す彼女。
俺は女に限りらず、こういうひとが大嫌いで。
妬み、嫉みをすべて彼女にぶつける、そんかのただの八つ当たりだ。
「お前ってほんと最悪な。」
こいつらに何を言っても無駄だと思って、俺は怒りを沈めるためにも教室を出ようとしたその時だった。
廊下に出ようとドアを開けた瞬間、俯いて震えていた小さな彼女が教室のドアの前で立ち尽くしていた。
「Aさん!?」
彼女は恐る恐る俺を見た後、つぶらな目を大きく見開いて、全速力で俺から逃げていく。
「っ、ちょ」
俺も追いかけないわけにいかなくて。
彼女は思った以上に早かったけど男女の体力の差には抗えないようで、空き教室で行き止まりとなってしまった。
「っ、なんで逃げるの」
息を整えながら彼女に問う。
『もう世界が誰も私の味方をしてくれなくなったから。』
初めて聞いた言葉に俺は戸惑う。
何を言っているのか、言葉の意味を理解するのには時間がかかった。
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うな! - 更新楽しみにしています! (7月30日 19時) (レス) @page8 id: 4785f44992 (このIDを非表示/違反報告)
mai(プロフ) - TWICEのFeel Specialと少しリンクしていてグッときました…!! (5月28日 21時) (レス) id: 9da369c8fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 緒 菜 | 作成日時:2023年5月11日 0時