きみが手首に黒ゴムをつける理由 S.Hirano (ページ8)

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『うーん、やっと黒ゴムとおさらばだなって』

「ぬえっ!?」

『付き合ったときから私は他の人が好きやったし
今はちゃうけど、でも今も好きちゃうから』

「.......なんか、意外や

4年も付き合っとるって聞いて、
あーずっと好きで付き合っとるんだろうなぁって｣

『なんとなく別れられなかったんだよ笑
私にとっては初めての彼氏だったから』

「廉は初やったん?」

『いやーちゃうと思う....
廉は中学生の頃から、モテモテだったから
他の女の子とも付き合ったとことあるんじゃないかなぁ?』

と、愚痴をこぼすきみ。

廉ってたしかにモテるよなあー

『今日、廉とデートやったから頑張って髪の毛アレンジしてきたんのに....

朝イチの連絡が別れようで、もう廉ってホントに意味わからんよなぁ。
よく仲良くできるなぁ?』

多目的室の窓からちらっと外を覗けば
廉がよくわからん女の子連れて話してるのが見えて。

あいつもよーわからんやつやなって。

『だってここだけ日焼けしないから変になっちゃうし、ダサいし、もうつけなくていいって思ったら気楽!』

と相変わらず可愛らしい笑顔を僕に向けるきみ。

『HR始まるから先に戻ってるね』

「ちょっと待って!!!!!」

｢その黒ゴム、僕にくれへん?｣

あれは我ながら気持ち悪いと思った。

案の定キョトンとするきみ。

「い、いや....その....」

『全然ええけど、気持ち悪くないん??』

「むしろ僕の方が気持ち悪くないん?
急に男に言われて、嫌ちゃうん?」

『うーん、平野くんだからあげるんだよ』

きみは、人のペースを乱すのが得意だと
プロフィールに書いたほうがいい。