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意外なお願いと半分こ ページ5

HRが終わってしまった……。



「彩華!一緒に帰ろ?」

「ごめん凛ちゃん……私今日この後用事が」

「なんでそんなこの世の終わりみたいな顔してんの?」


冷静な凛ちゃんのツッコミに乾いた笑い声が出た。
席に座ってぼーっとしていると、気付けば教室には私一人だけ。


……あれ?場地くんは?


バッ、と左の席を見るとまだ鞄が掛かっていた。
人を呼び出しておいて遅れるって……。少し呆れていると、ドアが音を立てて開いた。

「ば、場地くん。一体どういったご要件でしょう……」

「オマエ、頭いいの?」

「……へ?」

場地くんの口から出てきたのは想像とは全く違う言葉だった。

「頭いいのかって聞いてんの」

間抜けな顔をして固まっていた私に追い討ちをかけるように場地くんは睨みをきかせて続けた。

「え、えと、人並みには……?」

「なら、手伝ってくんねえ?」


そう言って場地くんは椅子に座り、一枚の紙を取り出した。


「手紙……ですか?」

ん、と短く答えると、場地くんは静かに手紙を書き始めた。
何をしていいのか分からず、いつもの席に座ってじっと場地くんが手紙を書くのを見ていた。

「……あ、これ漢字違いますよ」

「え、まじ?」

「はい。あとここも」

「……オマエ良い奴だな」





私は何をしているんだ一体。あの場地くんに漢字の間違いを教えてる?東京卍會の壱番隊隊長だよ?
悶々とそんなことを考えながら漢字を教え続けていたら、いつの間にか日が暮れようとしていた。






「サンキュー!山守のおかげでいつもよりずっと速く書き終わった!」

「あはは……お役に立てたなら何よりです」

「なあ、ペヤング好き?」

結局最後まで付き合ってしまった……。
場地くんが家まで送る、と言ってくれたが、私の心臓が持たないので近場までお願いしたら唐突にそう言われた。

「ペヤング……食べたことないです」

「え?!まじ?じゃあ、半分こしようぜ」

そう言って場地くんは意気揚々とコンビニに入って行った。

「……え?」

私が呆然としていると、場地くんは既にペヤングを買ってきていた。
んじゃ行くぞ、と手を引かれて、向かった先は私の家の近くの公園。







情報量が多すぎて、その後どうやって帰ったのか、場地くんと何を話したのか、その他諸々覚えてない。







でも、二人で半分こして食べたペヤングがとても美味しかったのはよく覚えている。

場地くんはお馬鹿らしい→←睨まないでください



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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです! (2021年8月13日 6時) (レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです!更新頑張ってください!場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧葉 | 作成日時:2021年8月12日 17時

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