場地くんの悩み ページ30
八月も後半に近づき、一緒に期末試験も近づいていたある日、場地くんから勉強を教えてくれ、とメールが来た。
塾と家を行き来するだけの生活に嫌気が差していた私は、二つ返事で了承した。
「よ、悪ぃな忙しい時に」
「全然大丈夫だよ!上がって」
なんだか、場地くんがペンを置く回数が前より多い気がする。
説明する時はちゃんと聞いているんだけど、どこか、上の空というか。
「場地くん、なんかあった……?」
「……え」
「あ、いやなんか、いつもと違う感じがして……」
「いや、あー……うん。まぁ、あったな」
「聞かせて?」
「……お前には、関係ない」
「関係あるよ、場地くん全然集中できてないじゃん」
場地くんはしばらく押し黙ったあと、ようやく口を開いた。
「……もし、お前の友達にちょっかいかけてる奴がいたらどうする?許されねぇイタズラ。自分より、遥かに頭が良い奴が」
あまりにも、らしくない悩みだと思った。
「場地くん、覚えてる?随分前に、友達なら助けるのは当たり前だ、って私に言ってくれたこと。
私ね、あの時本当に嬉しかったし、安心した。
……きっと、その友達も誰かの助けを待ってるんじゃないかな」
「……でも、俺が」
「らしくないなぁ、場地くん。無鉄砲で、馬鹿で……優しい君ならきっと、助けられるよ」
勢いで喋ってしまったために、少し顔が赤くなった。
偉そうなことを言ってしまったかもしれない。
「ふ……はは、だよな。何ひよってんだよ、俺」
そう言って場地くんは両手で自分の頬を叩いた。
頬と手を赤くして立ち上がった場地くんは、ギラギラと目を光らせていた。
「やってやるぜ……俺は、アイツらをぜってぇ守る」
アイツらが誰を指すのかは分からなかったけれど、場地くんがいつも通りに戻ったような気がした。
「うし、そうと決まれば早速動くか……悪ぃな彩華、急に来て急に帰って」
「ううん。頑張れ、場地くん」
「……おう!ありがとな」
そこからめっきり、場地くんと話すことは無くなった。
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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます!!そう言って頂けてとても嬉しいです! (2021年8月13日 6時) (レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです!更新頑張ってください!場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧葉 | 作成日時:2021年8月12日 17時