将来の話 ページ23
｢彩華、ちょっと来なさい｣
そろそろ12月に差し掛かるという頃、珍しくお父さんが私のことを呼びつけた。
｢……彩華の、進路のことなんだけどね｣
ドクリ、と嫌な予感が胸に響いた。
私の家族は、代々医療関係の仕事に就いている。
お父さんは医者だし、お母さんは薬剤師。おじいちゃんは理学療法士、おばあちゃんは看護師……。
お父さんやお母さんが私にもそれを期待するのは、火を見るより明らかだった。
｢父さんも母さんも、出来れば医療系の学校に進んでもらいたいなぁって思ってるんだ。それでな、医学の道に進むってなると、高校は国公立の高いレベルのところに行かなきゃならない。分かるか？｣
かすかに頷くと、お父さんはさらに続けた。
｢正直、今の彩華の成績だとそれは厳しい。だから、塾の日を増やそうかと思ってる｣
｢え……。でも私、頑張ってるよ？｣
私の精一杯の抵抗に、お父さんは苦笑いで返した。
｢彩華……最近、不良のような子と仲良くしてるんだろう？｣
なんで……知ってるの？
バレないように、家に呼ぶのはお父さんもお母さんも仕事の時だけにしていたのに。
｢彩華の交友関係に、あまり口は出したくなかったけど……そのせいで彩華の成績が落ちてるなら、ね｣
｢ちょ……っと待ってよ！私の成績が落ちてるのは私のせいだって！……それに、私、まだ医療系の仕事に就きたい、とか思ってない……｣
｢……うん。でも、将来の選択肢を広げるって言う意味でもいい高校、いい大学に入ることは重要な事だ｣
別に、今日結論を出す、という話じゃないよ。三年生になる頃には、自分の道を見つけておきなさい。
そう言ってお父さんはリビングから出ていった。
分かってるんだ。
お父さんもお母さんも、私のためを思って言ってくれてるって。
最終的に二人は、私の選んだ道を尊重してくれるのも分かってる。
でも、お父さんの話は、酷く重く、私の心にのしかかった。
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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！！そう言って頂けてとても嬉しいです！ (2021年8月13日 6時) (
レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです！更新頑張ってください！場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧葉 | 作成日時：2021年8月12日 17時
