本気の心配 ページ16
あれから早くも数ヶ月が経ち、夏の気配を感じるようになった。
まあ、その数ヶ月には中間試験があったけれど。
場地くんに勉強を教えたり、松野くんにも教えたり、私自身も勉強をしたり、とバタバタの日々だった。
学校もあとは夏休みを迎えるだけ、というゆったりしたムードが流れる中でその小さな事件は起こった。
｢ねえ、彩華……。あの場地と付き合ってるってほんと……？｣
背後に物凄い気迫を纏いながら凛ちゃんが聞き捨てならない事を言った。
｢付き合ってないよ！どこ情報それ！｣
｢ならいいんだけどさ……でも、仲良くしてるのは事実でしょ？｣
｢う、うん｣
私が頷けば、凛ちゃんは深くため息をついた。
｢いい？場地が所属してる東京卍會は、今勢力がどんどん大きくなってんの！しかも場地はそれの中心人物…。彩華がなんかちょっかい出されないなんて保証ない｣
｢凛ちゃ……｣
｢私、もうなんも知らない奴らが彩華のこと噂してんのとかさ、もし彩華が傷ついたらって考えると耐えらんないよ…｣
確かに、私も自分について根も葉もない噂が流れているのは知っていたけど、それについて何も思うことは無かった。
いつかほとぼりも覚めるだろう、と自分では楽観視していたから。
でも、凛ちゃんは違った。
私よりずっと私のことを考えていて、心配してくれている。まるで、あの雨の日の場地くんのようだ、と少し思った。
｢彩華。悪いことは言わないから、場地と関わるのは控えた方がいい。場地が悪いヤツじゃないってことは分かってる。でも……｣
凛ちゃんの真剣な瞳に見つめられて何も言えないでいたその時。
｢あれっ？彩華さんまだ帰ってなかったんすか？良かったら一緒に……って、取り込み中でしたか、すみません｣
｢おーい千冬、二年の教室なんて覗いて何やってんだあ？｣
松野くんが教室の前を通って私を見つけた拍子に声をかけてきた。
もちろん、その横には場地くんもいる。
｢……ねえ、アンタ。場地と知り合いなの？ちょっと呼んでくんない？｣
｢はぁ？なんで俺が見ず知らずのヤツの命令聞かなきゃいけないわけ｣
｢おい、先輩だぞ。敬えよ｣
バチバチに睨み合う二人を前に私があたふたしていると、
｢千冬と……東根、だっけ？何してんだ？｣
場地くんが二人の間に入ってくれた。
でも、
｢場地、アンタに話したいことがあるの｣
今の凛ちゃんと場地くんが対面してしまったのは、ちょっとまずいかもしれない。
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碧葉(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます！！そう言って頂けてとても嬉しいです！ (2021年8月13日 6時) (
レス) id: 3b7c38c624 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 見てて楽しかったです！更新頑張ってください！場地さんかこかわすぎ…でした… (2021年8月12日 20時) (レス) id: dda0942623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧葉 | 作成日時：2021年8月12日 17時
