君と見る景色 (ページ10)

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８．ページ10

拓実side

蓮先生はずるい。今回は練習から見ていてもあおいがセンターだろう。みんなそう思っていた。
俺も心のどこかでそう思っていた。でも負けたくなくて、認めたくなくて、最後まで意地を張っていた。こう聞かれて、本当は俺です。って言いたい。でも改めて真正面からあおいのダンスを見て、認めるしかなかった。

あおい「拓実です。」

「？！！！」

あおい「遠慮とかじゃなくて。やっぱり拓実のダンスは私にはない、迫力、キレ、見る人を虜にする力がある。大人数で踊ってるとき、どこにいても目が行く。センターで輝くのは拓実のダンスです」

「ちゃう・・・・・・・・あおいや」

蓮「・・・・・・・・・・」

「この曲の振り付けは、あおいが完全に自分のものにしてる。
隣で踊っててずっと分かってた。悔しいけど、今回はあおいやなって。
今までの比じゃないくらい輝いてる。もし俺がセンター立ったとしても今の俺やったら、完全に後ろにいるあおいに飲まれる。今回はあおいの後ろで踊りたい。そう思った」

蓮「・・・・・拓実には酷なことさせたよね。ごめん。
ほんとは俺もセンターはあおいって決めとった。でも拓実がこのままじゃ納得できない状態が続くんちゃうかなって思ったからこの方法をとらしてもらった。」

「・・・・・なんとなくわかってました笑
あーーーー！！！悔しい！！！」

あおい「拓実・・・・・・・」

「なんでお前が泣きそうな顔すんねん！そんなうじうじしとったらセンター喰うたるからな！」

あおい「な？！！そんなん！絶対負けへんし！！」

蓮「ははっ！！笑笑
2人ともその調子で頑張ってな。今回はあおいがセンターやけど決して拓実あおいに劣ってるわけじゃない。言わんでもわかってるやろうけど、あおいも油断せんと気を引き締めてこの大会挑んでほしいし、拓実も今まで以上にどんどん成長していい大会にしよう。」

「「はい！」」

2か月前、こうしてセンターが決まった。
正直悔しくて、家に帰って一人になった瞬間涙が止まらなかった。
でも、それからは切り替えてあおいと切磋琢磨しながら練習してきた。
大会は年に春と冬の2回あって、今回は冬の大会。
前回の春は俺がセンターだった。結果は関東大会でグランプリ。全国出場を果たしたものの、全国大会では賞を取ることができず、悔しい結果で終わった。
だからチーム全員この冬にかける思いは大きかったし、俺とあおいは人一倍大きかった。

それなのに・・・大会一週間前にこの怪我・・・