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あたしがたどり着いたのは会社の社食。
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A「健人くん、お待たせ!!」
中に入ると、健人くんはあたしに背を向けるようにして
窓際の席に腰かけていた。
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健人「……ごゆっくりって言ったのになんで今さらここにくるの?
しかも、すぐ行くって、ガチャ切りしといて
どれだけ待たすんだよっ!!」
表情は見えないけど口調からして、やっぱり怒ってる……。
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A「ごめんね?1度、家に帰ってたから……」
健人「ははっ……すごいね。どこまでふざけてるの?」
A「取りに帰ってたんだ……この口紅を。」
健人「……えっ?」
あたしの言葉にやっとこっちを見てくれた健人くん。
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健人「何、そのピンクの口紅!!
Aさん、それ、似合ってないよ?」
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A「この口紅ね、10年前に初めて買った化粧品なんだ。
太輔先輩に、かわいいって言ってほしくて……。
でもね、あたし、ピンクが似合わなくて
1度も人前でつけられなくて今、初めて人前でつけたの!!
"初めて"買った口紅を
健人くんの前で"初めて"つけたの!!
恋愛経験ゼロの女が知恵を絞ったところで
思い付くことといえばこんなことしかなかった……。
ねぇ、健人くん
"初めて"って特別なんでしょ・・・・・?」
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ねぇ健人くん?あたしの心はもう……
健人くんで、いっぱいになってるんだよ……?
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健人「・・・Aさん、バカだね」
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作者名:心愛 | 作成日時:2014年9月30日 17時