【SS】Drug Over Dose【2BRO.】 (ページ4)

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Aと正式にお付き合いをし出したのは、
今から約1年半も前の事。

彼女の意向で、

“ 付き合っている事を誰にも言わない事 ”

を条件に告白を承諾してもらったのだ。

理由は様々だったが、

「お互いが付き合っている事で会社内での肩身が狭くなったり、
冷やかしを受けたりなんてしてしまったら、ただでさえ苦手な同僚付き合いが更にハードルの上がったものになってしまうでしょ」

との事だった。

その場では、
「そうなったら寿退社させてやるよ」
と冗談目化して返したのだが、

「私は今、この仕事が楽しいの」

と、大真面目に返されたのを覚えている。

今までうまくやってきたはずなのに…
どうして今更バレたんだよ……

彼女と別れる、という最悪のシナリオが頭を駆け巡った。

しかし、最優先すべくはこの女の対処。
冷静を装いつつ、強気の姿勢で出る。

「それが何か？」

「私、見ちゃったんです」

女は、挑戦的な俺の態度に、
同じく挑発するような口調で話しつつ口角を上げる。

俺の腕を掴む手に力が入ったのが分かった。

「三日前、大通りを歩いてる時に。
普段クールな兄者さんが、隣を歩いている女の人をまるで追い掛けるかのように歩いてましたよね。
手を繋ごうとしたけど上手く避けられてしまった時、切なそうな顔なんかしちゃって。
兄者さんともあろう方をそこまで虜にするなんて、どんな美人さんなのかな～って女の子の顔を見たらまさかのAさん。

私、驚きすぎて笑っちゃいましたよ」

「笑う？俺とAが歩いているのが、そんなに面白かったのか？」

「ふっ、兄者さん。本当に、知らないんですか？」

「あぁん？」

女の顔が俺の耳元に近づく。
彼女以外の女にこんな事をされるのは勿論心外だが、
Aに関わる何か重要な情報を取り零してしまうのは惜しい。

女の息が耳に掛かった。

「＿＿＿＿＿Aさん、副社長と不倫してるって噂ですよ」

「………は？」

目を見開く。

Aが不倫…？

思いもよらない言葉に硬直していると、
女の顔は耳元から離れ、嫌味ったらしく話す。

「ただひたむきに上を目指す女は違いますねぇ～
妻子のある副社長を取り込むなんて。

まるで、ド悪女のする事じゃない」

「…………ただの噂だろ…」

「えぇ、まぁ。でも、お耳に入れておいて損なことじゃないでしょ？」

一度頭を冷やそうと思い、女から目線を外す。

そして、見つけた。

いや、見つけてしまった…？

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