☆ ページ45
…
「ここで最後に話したこと覚えてる？」
約束のこと？＿＿約束のこと。
予約、と言った方がわかりやすかったかもしれない。
俺が大人になるまで他の誰とも付き合わない、他の
誰のことも好きにならない。
燃えるようなオレンジの空だけが、証人だった＿＿。
「約束を守れたら、戻ってこようって決めてた」
センセイの真っすぐな瞳に、オレンジの空が映って、
かぱり、と蓋がひらく。
あの日の恋と憧憬をそっくりそのまましまい込んだ
タイムカプセルが、この庭に、埋まっていたらしい。
「ほんとはやぶくんの誕生日に飛んできたかったけど…
なかなか勇気がでなくて、…」
水を湛えた伏し目がぶわぶわ揺れて、宙に浮かせた
左手を、どこにも着地できずにそのまま引っこめた。
「おれがこんなだから、…
Momが…っ…呼んでくれたのかなって…っ」
センセイはあふれた涙を、ジャケットの袖で拭って、
勝手なこと言ってるのはわかってる、断っていいよ
と、わかりやすい強がりを言う。
「やぶくんに好きな人とか、恋人ができてたら
きっぱり諦める…っ」
センセイは、全然わかってない。
ここで夢を見つけた時、俺がどんなに嬉しかったか、
明日がくるのがどんなに楽しみだったか。
大きな木を育てたいと思った。花は咲けばいいかな
って、そんな強がりも言った。
ほんとは、この庭に収まりきらない花を咲かせたい。
ふたりの未来に咲かせたい、って、本気で思ってた。
明日に裏切られつづけて、３年半も過ぎてしまった。
「もう好きじゃないなら、、ちゃんと受け入れる」
やぶくんに従う。
センセイは無理やり口角をあげて笑った。つられて
俺も笑った。
こんなときこそ、笑っていたい。
腹の底から言いたいことがスプリンクラーのように
噴き出して、口から飛び出ようとするのを、笑顔で
閉じ込めた。
センセイが好きだよ。
ずっと好きだった。
困った顔も。
笑った顔も。
死ぬほど好きだ。
でも今は、同じくらい憎い。
「……やぶくん？」
いつか、この "わだかまり"を溶かすような春が来て
あれもこれも、ふたりの "未来"に必要な時間だった
って思えるのかな。
俺、それまで待てるのかな＿＿。
「 センセイ、俺……」
…
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しょこる(プロフ) - きょーかさん» 連載中も素敵なコメント頂けて、楽しく書き切ることができました(*^^*)ありがとうございます＊たまにはやぶくんとセンセイに会いに来てくださいね。よかったら他のお話や次回作もよろしくお願いします☆彡 (2019年11月28日 18時) (
レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - ちちちさん» 最後までお付き合い下さり、ありがとうございます☆キラキラした気持ちをお届けできて嬉しいです＊私もセンセイには掴み切れないふんわりパステルピンク。そんなイメージを持っております*^^* (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - Yokoさん» いつも身に余るお言葉ありがとうございます＊ナチュラルに何年も我慢してきたやぶくんですからね、、そりゃもう朝から昼からオオカミでしょう笑★もちろんセンセイも満更じゃないです(//-//) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - しろくまさん» タキシード仮面…！！★世代的にもキュンキュンしてしまう喩えをありがとうございます(*^▽^)/ ややこしいことに巻き込まれまくってきたセンセイが、いよいよ幸せになる番です＊ (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - みるみるみるきーさん» 長らくお待たせいたしました…(´ω`)ひと夏の経験で終わってもおかしくない恋でしたが、何年かかっても終わらない途切れない、それがこの２人です。これから可愛いお家で恋人を楽しむことでしょう〜(*^-^*) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこる
| 作成日時：2019年3月14日 22時
