☆ ページ31
…
「っ、センセイッ！！」
校長室には３人の大人が立っていた。
白髪の校長、青ざめた俺の担任＿＿、そして、俺の恋人。
「これ以上、お話することはありません」
センセイは横目でちらっと俺を見ただけで、すぐ校長に
向き直り、傷ひとつない陶器のような表情でそう言った。
校長がわざとらしく溜め息をつく。
「自分に好意があると思い声をかけたが断られた。
お金を渡し、いかがわしい行為に及んでしまった。
間違いないですね？」
センセイが「はい」と言って、深く頷く。
あまりの事に膝から崩れ落ちそうになるのを、なんとか
踏ん張って、嘘つきな恋人になんて言ってやろうかって
必死で頭を動かした。
ろくな言葉が思いつかない。出てくるのは涙ばっかりで。
「んで、嘘つくんだよ、、っ」
カーテンみたいに手応えのないセンセイの肩を揺さぶる。
数学教師が飛び込んできて、力任せに羽交い絞めにされ
引き剥がされた。
「っ、金なんかもらってないッ、！！」
誰に訴えているのかさえ、わからないまま。バタつかせた
足が宙に浮く。
「先に好きになったのは俺なんだよッ！！」
人形みたいな膝が折れた。やっぱり大人の力には適わない。
センセイに言葉を贈るチャンスは、もうそんなにないって
冷静になる頭が憎らしかった。
思い出すのは、笑った顔でも怒った顔でもない。独りじゃ
なんにもできないみたいな、困った顔だ。
「センセ、、ほんとは助けてほしいんだろ…？
合言葉言って…」
センセイの青ざめた唇を見つめた。瞬きしないで見つめた。
ほんの僅かな動きも見逃さないように。
”ちんくるほい”
センセイに頼られて、センセイに必要とされて、ほんとに
助けられたのは、俺の方だ。
俺の腐った人生に颯爽と現れた、センセイはまぎれもない
センセイだけは信じてたんだ。
「なんのこと？」
センセイは、洋服についた埃を取って捨てるように言った。
全身の力が抜ける。
ずるずると廊下に引きずり出され、そこに立っているのが
やっとだった。
「っ、はなせよ…っ」
「だから何回も注意してやっただろっ！
授業サボって "どこ"行ってるんだって！」
熊とフレディ・マーキュリーを足して、２で割ったような
顔の癖に。
「大人を舐めるな」
わからなかった。わかりたくもなかった。
だけど、その本当みたいな言葉に思いっきり頬を殴られて
動けなくなったのは、確かだった。
☆次回☆
虹の根元に、真実が埋まっている
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 308人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょこる(プロフ) - きょーかさん» 連載中も素敵なコメント頂けて、楽しく書き切ることができました(*^^*)ありがとうございます＊たまにはやぶくんとセンセイに会いに来てくださいね。よかったら他のお話や次回作もよろしくお願いします☆彡 (2019年11月28日 18時) (
レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - ちちちさん» 最後までお付き合い下さり、ありがとうございます☆キラキラした気持ちをお届けできて嬉しいです＊私もセンセイには掴み切れないふんわりパステルピンク。そんなイメージを持っております*^^* (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - Yokoさん» いつも身に余るお言葉ありがとうございます＊ナチュラルに何年も我慢してきたやぶくんですからね、、そりゃもう朝から昼からオオカミでしょう笑★もちろんセンセイも満更じゃないです(//-//) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - しろくまさん» タキシード仮面…！！★世代的にもキュンキュンしてしまう喩えをありがとうございます(*^▽^)/ ややこしいことに巻き込まれまくってきたセンセイが、いよいよ幸せになる番です＊ (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - みるみるみるきーさん» 長らくお待たせいたしました…(´ω`)ひと夏の経験で終わってもおかしくない恋でしたが、何年かかっても終わらない途切れない、それがこの２人です。これから可愛いお家で恋人を楽しむことでしょう〜(*^-^*) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しょこる
| 作成日時：2019年3月14日 22時
