☆第７話：胸の檻に棲む、孤独なモンスター ページ20
…
缶コーヒーは空だった。
俺達に弾き飛ばされた空き缶はカンコロロン、と
悲鳴をあげて、センセイは嫌そうに身をよじった。
華奢な手首は机に縫いつけ、何か言いかけた唇は
キスで塞ぐ。
教科書みたいなことは聞きたくない。
「 センセイもシたいんだろ？」
汗ばんだ声は自分じゃないみたいだ。センセイの
肌の匂いに逸る気持ちをなだめ、じっ、と答えを
待った。
イエスか、ノーか。それだけでいい＿＿。
「ふふっ、」
センセイは笑った。
複雑に絡まっていたはずの視線を簡単にほどいて、
可笑しい、可愛い、そして、呆れた、という風に。
「おれ、妄想のプロだからさ…」
センセイは自分の髪の毛をくるくる指に巻きつけ
意味ありげに笑う。
完璧な美少女戦士に変身したセンセイの立ち姿が
思い浮かぶものの、話のしっぽが捕まえられない。
「昨日もね、やぶくんといっぱいシたよ」
ゴクリ、と、唾が喉をくだった。
夢や妄想の話なのに、その時の光景や感触までも、
センセイの瞳の奥から匂い立ってくるようだった。
「……やぶくん、激しかった」
「っ、、出演料もらってねぇけど、っ」
頭が沸騰して、上も下もわからない。センセイは
それだけじゃないよ、と囁いて、生クリームでも
掬うみたいに俺の鼻先をつついた。
「そのあとの二人がどうなるか」
「……そのあと？」
ガラララッ…！
ふたりの空気が引き裂かれ、突然、ドアが開いた。
清潔な紺のプリーツスカート、膨らんだ白シャツ。
「あんたら何やってんの…？」
やばい、と思う暇さえなかった。ミニスカートは
笑顔を引き攣らせ、俺ーではなく、机に寝そべる
センセイを見ている。
唇がべたべたで、シャツがしわしわのセンセイを。
「ちょっと相談されてただけだよ…
好きな女の子と "大人"になりたいって、、ね？」
ゆったり身体を起こしたセンセイは、垂れた髪を
耳にかけながら、何でもないことみたいに言った。
「あ、もしかしてやぶくんの彼女？」
「ちげーしっ、！」
センセイがいたずらな笑顔で交互に目配せをして
胃のあたりがムカムカした。
俺はセンセイに詰めよりかけて、ミニスカートは
走ってどこかに消えた。まだ足音が聞こえている。
「俺はセンセイが好きだって言ッ、て、！」
センセイにつっぱり棒で頭を叩かれた。それから
肩や二の腕をぽかぽか、と矢継ぎばやに叩かれる。
「言いたくて言ったんじゃないよ…っ
彼女とか…っ」
センセイは涙目だった。それを嬉しいと思うのは
イケナイことなのかな。
…
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しょこる(プロフ) - きょーかさん» 連載中も素敵なコメント頂けて、楽しく書き切ることができました(*^^*)ありがとうございます＊たまにはやぶくんとセンセイに会いに来てくださいね。よかったら他のお話や次回作もよろしくお願いします☆彡 (2019年11月28日 18時) (
レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - ちちちさん» 最後までお付き合い下さり、ありがとうございます☆キラキラした気持ちをお届けできて嬉しいです＊私もセンセイには掴み切れないふんわりパステルピンク。そんなイメージを持っております*^^* (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - Yokoさん» いつも身に余るお言葉ありがとうございます＊ナチュラルに何年も我慢してきたやぶくんですからね、、そりゃもう朝から昼からオオカミでしょう笑★もちろんセンセイも満更じゃないです(//-//) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - しろくまさん» タキシード仮面…！！★世代的にもキュンキュンしてしまう喩えをありがとうございます(*^▽^)/ ややこしいことに巻き込まれまくってきたセンセイが、いよいよ幸せになる番です＊ (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - みるみるみるきーさん» 長らくお待たせいたしました…(´ω`)ひと夏の経験で終わってもおかしくない恋でしたが、何年かかっても終わらない途切れない、それがこの２人です。これから可愛いお家で恋人を楽しむことでしょう〜(*^-^*) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこる
| 作成日時：2019年3月14日 22時
