☆ ページ19
…
犯人は、机の下からひょっこり顔を覗かせて
俺の膝に満足げな頬をちょこんと添えている。
「これ、お弁当に入れてた保冷剤」
センセイは嬉しそうに笑って、イルカの形の
それを空中に泳がせた。
心配したんだけど、といたずらな手首を掴み
ギリギリまで顔を近づけ、睨んでやる。
センセイがイルカでちゅっ、とキスしてきて
すっかり可愛く変身してしまったセンセイに
俺は欲 情していた。
「んぅ、っ……あっ……」
蒸し暑くて暗い机の奥に押し込んで、
べちゃべちゃで、しわしわのキスで反撃する。
「んっ、、つめたいっ…」
センセイの首に保冷剤を押しつけて、可愛い
反応を楽しむ。またキスをする。反撃されて、
また＿＿。
俺、こうしていられるだけで。
でも、こうしているだけじゃ。
「ここ、冷やすと気持ちいいでしょ？」
センセイは、溶けて柔らかくなった保冷剤を
俺の首の後ろにあてながら、火照った身体を
余すことなくべったり押しつけてくる。
……。
脇の下に保冷剤の角をあて、もったいつけて
ツーっ、と、横腹をくだった。
センセイの骨を感じて、筋肉を感じて、俺は
気が触れそうになる。
手探りでお腹から、シャツの中へ、イルカの
嘴を潜り込せた。
「 あぁっ… 」
センセイ＿＿、！
「旧校舎に逃げんのナシだってーー！」
二人の時間を引き裂くさけび声にぴたり、と
手が止まった。
ドタドタ、と廊下を何人かが走り抜ける音や
上履きのゴムが擦れる、鳴き声みたいな音が
遠くなるまで、息を止めていた。
「……帰ろっか」
センセイは俺のすっかり怯えきってしまった
利き手を捕まえ、優しい声で言う。
うなずくことしかできない俺は、弱虫だった。
…
「これ、ホームセンターで買ったんだよ。
いいっしょ？」
週末、この木目調のつっぱり棒を手に入れた。
期待が膨らみすぎてズボンを突き破りそうだ。
「こうしとけば……ほら。外から開かない」
ガシャガシャ、開けるふりをすると、古びた
ドアの濁ったガラスが迷惑そうな音を立てた。
俺の期待に反して、センセイはドアに近ずき、
迷惑そうな顔でつっぱり棒を外してしまった。
「これダメ」
「……なんでだよ」
センセイはそれを、魔法のステッキみたいに
構えて、それからぎゅっと胸に抱きかかえた。
「歯止め、、効かなくなるから」
センセイを机に押し倒した。
驚いた顔に汗が滴る。頭の中は真っ白だった。
始まってもない夏のことだ。
☆次回☆
胸の檻に棲む、孤独なモンスター
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しょこる(プロフ) - きょーかさん» 連載中も素敵なコメント頂けて、楽しく書き切ることができました(*^^*)ありがとうございます＊たまにはやぶくんとセンセイに会いに来てくださいね。よかったら他のお話や次回作もよろしくお願いします☆彡 (2019年11月28日 18時) (
レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - ちちちさん» 最後までお付き合い下さり、ありがとうございます☆キラキラした気持ちをお届けできて嬉しいです＊私もセンセイには掴み切れないふんわりパステルピンク。そんなイメージを持っております*^^* (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - Yokoさん» いつも身に余るお言葉ありがとうございます＊ナチュラルに何年も我慢してきたやぶくんですからね、、そりゃもう朝から昼からオオカミでしょう笑★もちろんセンセイも満更じゃないです(//-//) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - しろくまさん» タキシード仮面…！！★世代的にもキュンキュンしてしまう喩えをありがとうございます(*^▽^)/ ややこしいことに巻き込まれまくってきたセンセイが、いよいよ幸せになる番です＊ (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - みるみるみるきーさん» 長らくお待たせいたしました…(´ω`)ひと夏の経験で終わってもおかしくない恋でしたが、何年かかっても終わらない途切れない、それがこの２人です。これから可愛いお家で恋人を楽しむことでしょう〜(*^-^*) (2019年11月28日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しょこる
| 作成日時：2019年3月14日 22時
