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「部屋の中見せてもらってもいいかな?」
「……いやです…っ」





ひかるは俺の背中に隠れて、痛いくらい腕をつかみ
口をつぐんだ。

あまりにも可哀想で、放っておけない伏し目だった。





「ちょっとこわがってんだから…」
「やましいことがないなら見せられるだろ?」





それは、もっともだった。なんなら堂々とそうして
欲しいくらいだった。こんな悪夢からは早く醒めて、
川面みたいにキラキラした夢だけ、ひかると描いて
いたい。

どうか伝われ、って思いで、ひかるの目を見つめた。





「大丈夫。ちゃんと一緒にいるから」
「……うん…」





ひかるは消え入りそうな声で、「どうぞ」と言って、
ふたりを招き入れた。

刑事はポケットに手を突っ込んで、部屋の真ん中に
立ち、まるで内見でもしているみたいにぐるり、を
見回している。





「殺風景な部屋だな…」
「なんもないっすね」





ひかるの部屋に、余分な物は何もない。
低いベッドと、革張りのソファと、ソファに広げた
毛皮のコート__。





「おい、はさみあるか?」





しげしげと毛皮のコートを調べていた強面の刑事が
もう一人に手を伸ばし、小さいハサミが手渡された。

ひかるは心底不思議そうな顔で、きっと俺もそうで、
刑事の一挙一動をじっと、見守ることしかできない。


刑事はコートのポケットをひっくり返し、内側まで
もうもうと生えた毛をハサミの先でかき分けていく。





プチ、プチ、プチ……。





何か細い物を切っているようだった。

それはポケットの行き止まりを縫いつけていたらしい
狐色の糸で、刑事がハサミを動かすたび糸の切れ端が
ぴんぴん、飛び出してくる。





「………なにそれ、、」





ひかるの吹けば消えそうな声を俺だけが聞いていた。

刑事は隠しポケットに手を突っ込み、片眉をあげて、
もったいつけるように10センチにも満たない透明の
ジップロックを引っ張り出し、白い電気にかざした。





「っ、おれそんなの知らないっ!!」





何の変哲もない袋の中できらり、小指の先ほどある
ダイヤモンドが光った。
まるで笑うように、深呼吸するように、跳ね返した
虹色の光__。





「5カラットはあるな」
「100万そこそこですかね…」





ひかるの叫びを俺だけが聞いていた。

刑事は顔を寄せてひとしきりコソコソ話しをした後、
切れ味の良いナイフみたいな視線をひかるに向けた。







「八乙女光」







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しょこる(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございます★ダイヤモンドのように硬くて誰にも壊せない絆を描けて満足です^^次のステージにすすんだ2人に幸あれ☆彡 (2020年6月17日 17時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 完結、おめでとうございます。キュンキュン、ハラハラ、不器用な2人のキラキラ光る恋に魅了されました。ダイヤモンドにも負けない輝きを放つ2人の人生に全力で拍手を送ります!素敵なお話をありがとうございました。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - しろくまさん» ダイヤモンドは綺麗なだけじゃなくて、外から簡単に傷つけることができない硬さも魅力ですからね*残り数ページ、ふたりのキラキラの行方を見届けてください(-人-) (2020年4月28日 14時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - か弱そうに見えて、その実ダイヤモンドのように硬質な輝きを放つひかちゃんに心奪われます。どうかこの二人がきらめく舞台を続けていけますように…!! (2020年4月5日 20時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
しょこる(プロフ) - きょーかさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます*お話も佳境に入ってきたのでどんどん書き進めていきます^^ (2020年3月26日 18時) (レス) id: 93d8c8f749 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しょこる | 作成日時:2019年7月27日 22時

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