ねぇ、だれにも知られないで ＜yb×hk＞

＊ ページ18

…



「……あ、わかった！今回のことありがとうって
お礼言いに来てくれたとか？……………違うか。
……おれたち友達になろう！とか？……んーっと、
じゃあ、これだ！
このことはだれにも言わないでくれー！でしょ？」



夕日が沈んでくれたおかげで辺りは薄暗く
ぱちぱちと瞬きをして驚いている顔がよく見える。



…どれか1つは当たってたのかな？



長丁場になることを覚悟して、
重たいスクールバッグを足元に降ろし
しゃがんで時計代わりのケータイを探す。
…ケータイどのポケットに入れたっけ。









「おれ、やぶが好き」









突然降り注いだ、夜空に消え入りそうな声。



下から見上げたヤオトメは、目をぎゅっと閉じて
両手はズボンのポケットの辺りを強く握りしめている。


きっと薮のこと、思い浮かべてるんだ。









「………やぶが…………好き……………………」









それはどんな言葉よりも嬉しくて
どんな言葉よりも悲しかった。









「………おれ、やぶが好き！」










ヤオトメは私に最大の秘密をくれた。
1度も言葉にしたことがないはずの、秘密を。



”ありがとう”
”友達になろう”
”だれにも言わないで”



すべてがその秘密に乗っかって降り注ぎ
私の胸に染み込んだ。




「……おれ、やぶが…………………………」











立ち上がって、薮の真似をして頭を撫でてみる。









…ヤオトメの髪は、女の子みたいにふわふわだ。









私は初めて、
本気で神様と、この世界を恨んだ。





(昨日の敵は、今日の友、)

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