65秒 モヤモヤ ページ19
65秒経過
-A side-
「おやすみ」
そう言って蛍はスタスタ歩いて行っちゃった。
『え!?えええ!?今の何!?!?!?』
バタンとドアを閉めて、へなへなとそのまま床に崩れ落ちる。
心臓がバクバクして、自分のモノじゃないみたい。
胸に当てていた手を、そっとおでこに当てる。
『今のって…キス…だよね?』
"キス"と口に出した瞬間、身体中の血液が沸騰したみたいに熱くなってきた。
〈恋人っぽいデショ〉
誰かがいたわけじゃないから、恋人の"ふり"なんてする必要なかったのに。
ううん、例え誰かがいても、蛍は恋人の"ふり"をするためにいくらなんでもキスなんてしないはず。
『じゃあ、なんで…?』
わからない、わからなすぎる〜っ
も、も、もしかして、これからも恋人の"ふり"をする度に、キスされちゃったりするの!?
『恥ずか死にするよ、そんなの…』
抱え込んだ膝に顔を埋める。
恥ずかしい。でも…
『ちょっと、嬉しい…かも…』
少しだけ、ほんの少しだけ、期待に胸が膨らむ。
次はいつされちゃうんだろ、なんて一瞬考えたりもしちゃう。
この日わたしはドキドキしすぎて中々眠りにつけなかった。
なのに…
それなのに……
次の日、スタメンが発表された日も…
その次の日、ユニフォームが配られた今日も…
喋ってる感じでは、いつも通りの蛍だった。
だけど、わたしに触れないように避けてるんじゃないかと思える時がある。
2日前のあの夜、キスされたのはもしかして夢だったとか?
…ううん、今でもあの感触は覚えてるもん。
あれは夢じゃない。
『じゃあなんで避けてるの〜っっ!!』
音駒との練習試合を明日に控えた今日、合宿所のお風呂に浸かりながら叫ぶ。
もちろん、誰もお風呂場にはいないからわたしの叫びは虚しく浴室で響いただけだった。
ーーーーー
5月6日 AM 8:50
烏野総合運動公園 球技場
わたしたちは真っ黒なジャージに身を包んで、整列している。
澤「挨拶!」
「「お願いしアス!!」」
「「しアース!!」」
よし、わたしも清水先輩と荷物を体育館の方に運ばなきゃ。
楽しみにしてた練習試合だもん!
モヤモヤした気持ちは切り替えて、がんばーーー
「!?はぅあっ!シューズのシンデレラ!?!」
げ。
前言撤回。
早速雲行きが怪しくなってまいりました…
.
続く (更新停止中)
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瞬(プロフ) - いつも見てます！名前が変更されず、全部Aちゃんになってます(T ^ T) (2019年8月10日 8時) (
レス) id: 165d6b3667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏珠 | 作成日時：2019年7月13日 0時
