スパイスティー【黄・赤・緑】 (ページ31)

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その日の帰り、私にはいく場所があった

『あ…。ここか…』

着いたのは私の家よりも少し高そうなマンション

オートロックの紙に書かれた部屋の番号を押す

？「はーい♡」

弾んだ甘い声

『鍵。返しにきましたよ。西畑さん』

大「んふ、ちょっと待ってな〜？今開けるから」

ウィーンと扉が開き、エレベーターに乗る

早く家に帰りたい

疲れた

鍵を大ちゃんの手に乗せたら、瞬足で帰ろう

部屋のインターホンを押し、扉の間からくりっとした大きな目が覗く

『はい、これ。じゃあ私はこれで』

さっき言ったことを胸に背を向けて歩こうとする

が、

大「えー、待ってや」

いつの間にか扉の間から手が出てきてずるっと部屋の中に入れられる

『え…。ちょっと。私今日早く帰りたいの！』

大「でもさぁ〜、Aには貸しがあるやん。お泊まり会の」

手を扉につき、私の目線に背を屈む

黒い瞳が私を捉えて離さない

目を逸らそうとするものならそれも追いかけてくる

物理的にも心理的にも逃げられない

大「こんな状況やけどさ、降参？」