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自転車の少し高いサドルを下げて、一度乗り、もう少し下げてから、自転車に跨がる。
周りをぐるっと見て車が来ていないことを確認する。
ふっと息を吐き、軽くペダルに体重を預ければ、ぐんと頬が風を切るのを感じて口角が少し上がる。
視界が陽の光で霞み、つい目を細めてしまう。自転車のタイヤが回る音と、微かな振動が心地よい。思い切り息を吸い込めば、冷たい空気が肺に満ちて。瞬きをするたび景色が移り変わっていくのだ。
自分の体が、より使えるようになったような気持ちで。拡張された感覚がして、心地がいい。少し車体が大きいが、それも味だ。
そんなことを考えていれば、チリン、と自転車のベル音が聞こえた。ふと、聞こえてきた方を見る。
「△#%$?○」
そこには、ピエロの顔。
…。
「えっと…？」
私と並走するピエロ頭、の人。サーカステント周りで風船を配る、とかであればイメージはあるが、…自転車？
少しずつスピードを落とせば、ピエロさんも同じくスピードを落とす。
互いが完全に止まった頃、ピエロさんが自転車を降り、私に近付いてきた。
私も同じように降りて、こんにちは…？と返せば、もしゃもしゃと何かを言っているようだった。
そうすれば、ピエロさんはふと「ああ」と言い、ポケットを漁る。ああ、と言ってはじめて、日本語で喋っていることと、ただ滑舌が悪いだけなのかな、と思った。
「あ＊○$おとピンク%#ろ、すき♢☆をえら♭%#」
ピンク、ろ、すき、えら、だけはかろうじて聞こえた。好きな色を選んで、ってこと？と解釈し、とりあえず聞こえたピンクを選ぶ。
ピエロさんは手をぱっとする。じっと見つめていても何も言わないので、同じように私も手を広げてみる。
そうすれば、もう片方の手を、ぱっと私の手の上で開いて、置いた。
飴のように見える。ピンクの包装の。
「くれるんですか…？」
「い%ご＊○すよ」
あまりに聞こえていないのがわかったようで、少しゆっくり、はっきりと話してくれる。
いちご？かな？
「ありがとうございます、いただきます」
そう言えば、また何かを言ったかと思うと、自転車にまたがり、チリンと音を鳴らしてシューっと去っていった。
ぽかんとして、その後ろ姿を眺める。
…。
包装を開け、飴をぽいと口の中に放り込む。飴ならではのいちご味。
甘い。
結局よくわからなかったけど、悪い人じゃなかったようでよかった。
再び自転車に乗って、ペダルを思い切り踏み込んだ。
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245(プロフ) - かとを74さん» コメントありがとうございます！モチベが倍になりました。とても嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします🥳 (3月28日 11時) (
レス) @page23 id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
かとを74(プロフ) - 更新される度嬉しいです！ (3月26日 17時) (レス) id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
245(プロフ) - とくさん» ありがとうございます…！修正いたしました🙇🙇今後ともよろしくお願いいたします☺️ (1月6日 17時) (レス) id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
とく - めちゃくちゃ面白いです！！更新楽しみに待ってます…！！(ストリーマーグラセフだったのは前で、今はストリートグラフィティ・ロールプレイ、略してストグラのようですよ…！) (12月25日 22時) (レス) id: b931af8e9b (このIDを非表示/違反報告)
カフェラテ好きののあ。 - 8話でこのクオリティ。これは神作品の予感... ！ (12月20日 11時) (レス) @page8 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：245 | 作成日時：2023年12月7日 3時
