16 ページ16
その様子を見たヘラシギさんは、私の周りをぐるっと一周回ったのちに、満足そうな顔をする。
「悪ないな」
さっきのボロ着に比べたらそりゃあ良いに決まっているが、それでも良いと言われれば少なくとも変ではないと自信が出る。
さっそくその服のお金を払って購入。
さっそくヘラシギさんにお礼を伝える。そうすれば、ええんやでと人の良さそうな笑みを浮かべる。
「そうだ、付き合ってくれてありがとうございます。ヘラシギさんは何の用で来たんですか?」
「僕はただの気分転換で服選ぼうって来ただけやから…。…そうや、せっかくやから選ぶん手伝ってくれん?」
「それならもちろん、お手伝いさせていただきます!」
―――そうは言えども、私はただ後ろをついて回っただけだったけど。時折私の方を振り返って、こっちとこっち、どっちがええ?と、フォーマルな服とカジュアルな服を並べてみせる。
あまりに方向性が違うが、先ほどの服はしゃきっとした服だったので、方向性を変えて、カジュアルな服を選ぶ。気分転換と聞いていたから。
それに頷いて、それらに合わせ全身を揃えていく。
…画面越しにヘラシギさんと目が合う。
「雰囲気、変わりましたね」
「はは、そやな。基本襟ある服しか着ないもんやから。」
そう言うヘラシギさんにピントを合わせ、シャッターボタンを押して写真に収める。
「どう?かっこよく写してくれた?」
「た、多分!とりあえず、確認お願いします」
駆け寄り画面を見せれば、ふ、と口元に手を当てて笑う。
「…どうですか?」
「おー!上手やな、写真送れる?」
その通りに操作し、送ってスマホをしまう。
その視線を全身に滑らせると、ふとヘラシギさんと目が合う。
「…何?」
「や…、似合ってるなあ…と思って」
僕?と自分に指を差し、私は首を縦に振る。
それを見ると、そのまま手を口元にやって、あー、と声を漏らす。
「…そんな真剣に言われると照れるわ」
「わ、え、そんな反応されるとは、」
「そうやで、本気すぎ。嬉しいけどな?嬉しいけど。…てか見すぎ。」
すみませんといいながら視線を窓へと追いやる。
「はは、ええよ、大丈夫。服も選べたしありがとな、Aくん」
そのまま店の出口まで2人で向かえば、青井さんがスマホからこちらに顔を向けた。
「あ、ヘラシギさんさっきぶり、やっぱり会ったんすね」
「うん、僕も服選んでもらったわ、どう?らだおくん」
「いいっすね、雰囲気変わる」
「やろ?」
1181人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
245(プロフ) - かとを74さん» コメントありがとうございます!モチベが倍になりました。とても嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします🥳 (3月28日 11時) (レス) @page23 id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
かとを74(プロフ) - 更新される度嬉しいです! (3月26日 17時) (レス) id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
245(プロフ) - とくさん» ありがとうございます…!修正いたしました🙇🙇今後ともよろしくお願いいたします☺️ (1月6日 17時) (レス) id: 223c5bae8c (このIDを非表示/違反報告)
とく - めちゃくちゃ面白いです!!更新楽しみに待ってます…!!(ストリーマーグラセフだったのは前で、今はストリートグラフィティ・ロールプレイ、略してストグラのようですよ…!) (12月25日 22時) (レス) id: b931af8e9b (このIDを非表示/違反報告)
カフェラテ好きののあ。 - 8話でこのクオリティ。これは神作品の予感... ! (12月20日 11時) (レス) @page8 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:245 | 作成日時:2023年12月7日 3時